林業従事者数の減少は著しい。1980年には全雇用者のうち約16・8%を占めていたが、現在はわずか4万人ほどとなっている(総務省国勢調査)。その中で兵庫泉さんは、未来の森林を守ろうと高度な伐採技術を引き継ぐべく、自ら山に入り少数精鋭の人材を育てる。地域の子どもたちには見学ツアーを開催し、林業研究会にも所属して業界を盛り上げるため情報発信する。
「婿入り」の結婚条件でやむにやまれず実家へ
静岡県のほぼ中央に位置し、市内の南北を大井川が流れる島田市。南アルプスに続く山々が連なる北の中山間部・伊久美で、兵庫親林開発代表取締役の兵庫泉さんは生まれ育った。静岡茶発祥の地としても知られ、お茶農家も多い地域だ。 「周りは林業とお茶農家を兼業する家がほとんどで、うちもその一つ。父は幼少期に父親を亡くし、若くして林業を営む親方の下で働きつつ、お茶や原木シイタケの生産で生計を立てていました。1992年に個人事業主として独立後も、暮らしにそう変化はなかったようです」
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