日本商工会議所はこのほど、東京商工会議所と連名で「『次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について(報告)(素案)』に対する意見」を文部科学省に提出した。意見書では、基本方針に「探求・STEAM教育の強化」「文理横断・文理融合教育の推進」「キャリア教育・職業教育の充実」「DX人材の育成」「起業家教育の推進」「産業界との連携」などが取り上げたことを評価。その上で、今後の具体的な施策などの検討に向けて盛り込むべき事項などを提示している。
教育振興基本計画は、わが国の教育施策の総合的かつ計画的な推進を図ることを目的に、2008年に政府が初めて策定。5年ごとに見直しが行われており、現在、23年度からの5年間を対象とした第4期教育振興基本計画の策定に向けて、中央教育審議会で審議が進んでいる。
日商では、「産業界との連携による実践的なキャリア教育推進」「高校における産業界との連携強化」「専門高校の高度化」「外国人留学生・高度外国人材の国内就職・定着促進」「子供の成長段階に合せたイノベーション人材教育推進」の重要性を指摘。教育DXの推進・デジタル人材の育成に向けては、「ハードの有効活用による教育の質の向上」「初等教育段階からのデジタル人材育成強化」などを求めている。
「産業界との連携による実践的なキャリア教育推進」に向けては、各地商工会議所における「キャリア教育」の取り組みについて触れるとともに、「学校、自治体、産業界、地域社会の協働が不可欠であり、円滑な連携推進への支援」の重要性を 強調。「高校における産業界との連携強化」「専門高校の高度化」については、産業界と連携して職業やキャリア、地域産業などへの理解を深める教育の強化に加え、専門高校においては、企業の現場で求められているデジタル化やマーケティン グなど、学習内容をより高度化することなどを求めている。
「外国人留学生・高度外国人材の国内就職・定着促進」に向けては、日本でのキャリアパスに関する情報提供や相談窓口体制の充実など、きめ細かな支援の必要性を強調。在留資格については、高度すぎる日本語能力を求める要件緩和など、卒業後の定着を妨げている制度などの見直しも求めている。
「子供の成長段階に合せたイノベーション人材教育推進」に向けては、特に、起業家教育について、「初等・中等教育といった早期の段階から、高等教育までの中で子供の成長段階に合わせて推進すべき」と指摘。「地方創生の拠点となる地方 大学の機能強化」については、「地域のイノベーションや新たな産業創出を促すべく、大学が有する知的資源や研究資機材・施設について、企業や創業予定者による利活用を拡大し、地域社会と共に成長する共創拠点(イノベーション・コモンズ)となる動きを一層促進すべき」との考えを示した。
「教育DXの推進・デジタル人材の育成」に向けては、初等教育段階からのデジタル人材育成強化の重要性を指摘。「デジタル技術を初等・中等教育段階から身に付け、高等教育機関での専門的な学びにつなげることで、デジタル人材の着実な 育成を目指すべき」と求めている。
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