日本ASEAN友好協力50周年有識者会議(座長=大庭三枝・神奈川大学教授、事務局・外務省)はこのほど、今後の日ASEANパ ートナーシップの方向性を提示する報告書を取りまとめ、公表した。報告書では、現在の日本とASEAN諸国が直面する課題とともに、新たな日ASEAN協力パートナーシップの柱として、「自由で開かれたルールに基づく公正な地域秩序の構築」「経済発展・持続可能性・公正性が充足した共生社会の実現」「相互理解と相互信頼の醸成」の3点を提示。新たな協力の具体的な項目も提案している。
「自由で開かれたルールに基づく公正な地域秩序の構築」では、具体的な協力の項目として、地域内の緊張緩和へ向けた取り組みの長期的推進、ASEANアーキテクチャーの強化、ASEAN事務局の機構・機能強化支援、安全保障分野での協力推進などを提示。「経済発展、持続可能性、公正性のいずれもが充足した共生社会の実現」では、自由で開放的かつ公正な経済秩序の維持・強化、経済の活性化と高度化による発展の実現、社会的発展と公正のための協力、持続可能でレジリエントな社会の実現などの分野での協力を提言している。「新たな日ASEANパートナーシップの基盤となる相互理解と相互信頼の醸成」では、日ASEAN間の多層的な人材交流および知的交流・文化交流の促進、日本とASEANの若手高度人材間のネットワーク形成と相互対話の機会の維持・強化などの具体策も提案した。
有識者会議は、昨年5月に日本商工会議所や経団連などの経済界委員と学界委員の民間有識者12人で発足し、日ASEAN特別首脳会議に向けて政府内で準備を進める上での参考とするために8回にわたって研究会を開催。政治・安全保障、経済、文化・社会など幅広いテーマについて検討した結果を、今般、報告書として取りまとめ、政府に提出している。
最新号を紙面で読める!