2022年3月に131件認定された「100年フード」の中から、日本が誇る食文化を文化庁、有識者がリレー形式で紹介します。
言うまでもなく、「食べる」ことは、人間活動の根幹です。人々は何をどのようにして食べてきたのか、食材の違いはもとより、調理・献立、食器類や食の作法・マナーに至るまで、国・地域、時代とともに誠に多様かつ豊かです。
グローバル化がいわれる今日、食文化は、一方で均一化の方向にも向かっています。世界の国々でファストフード店が展開し、インスタント食品やスナック菓子などの流行も見られます。だからこそ、半面で地域固有の食材を用いた郷土料理や地産地消料理が見直されているのでしょう。
本年は、2013年にユネスコ無形文化遺産に「和食」(日本人の伝統的な食文化)が登録されてから10周年となります。また、22年11月には、「京料理」が国の登録無形文化財に登録されました。
小浜の鯖は、その京料理を支える「御食国(みけつくに)の一つ」として重宝され、塩や海産物などとともに、豊富な食材が都に運ばれました。
一塩した鯖を背負い、十八里(72km)の急峻(きゅうしゅん)な峠を越え一路都へ。この物語が「御食国と若狭の鯖街道」として日本遺産にも認定されました。小浜では、この物語とともに、食のミュージアム「御食国若狭おばま食文化館」を設立、港近くにある北前船寄港地由来の古民家の再生など、食を軸とした観光まちづくりが進められています。昨年度の日本遺産総括評価では、これらの優れた取り組みが認められ、重点支援地域にも認定されました。
食は、まさに日本文化の象徴であり、これらを生かす取り組みは、観光まちづくりにも大きな役割を果たしています。
100年フード
文化庁は、①地域の風土や歴史の中で創意工夫し地域に根差したストーリーを持つ②世代を超えて受け継がれてきた③地域の誇りとして100年を超えて継承することを宣言する団体が存在する、食文化を「100年フード」として認定しています。
100年フード公式ウェブサイト ▶ https://foodculture2021.go.jp/jirei/
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