物価高などのコスト増が国民生活と企業経営を圧迫する中、日本商工会議所は、全国515商工会議所および連合会、青 年部、女性会と連携し、以下の五つの活動にまい進する。政府には、足元の資金繰り対策に加え、ビジネス環境整備や税 財政支援など、われわれ民間の挑戦を強力に後押しされたい。
1.中小企業の自己変革と事業承継を促進し、新たな価値創造を
事業再構築、創業・スタートアップ、情報化、脱炭素、研究開発、無形資産投資への挑戦を支援し、中小企業の新たな価値創造を推進する。事業承継税制の恒久化を目指す。政府には、企業の投資意欲を高めるため、税・財政支援を拡充するとともに、原発再稼働などで安定・安価なエネルギー供給の確保を図られたい。
2.持続的な賃上げを可能とする中小企業の生産性向上と取引適正化を
中小企業の自発的かつ持続的な賃上げを可能とする原資の確保に向け、デジタル活用による生産性向上とともに、中小企業と大企業の共存共栄による円滑な価格転嫁と取引適正化を目指し、国・自治体などと協働し「パートナーシップ構築宣言」を推進する。政府には、同宣言の実効性の向上への取り組みを一層強化されたい。中小企業の人材確保に資するリスキリングへの支援強化と地域ニーズに即した外国人材活用などの制度を整備されたい。
3.地域に人と消費と投資を呼び込む観光振興、都市再生を
地域の経済活性化に向けて、国を挙げて大阪・関西万博を成功させる。さらに、横浜園芸博などの国際イベントを成功に 導くとともに、札幌オリパラ招致の実現を目指す。人口流出に歯止めをかけるため、若者や女性などを引き付ける都市再 生や中心市街地の活性化を推進するとともに、シビックプライド(郷土愛)を喚起し、地域に良質な仕事と雇用を創出す る。政府には、こうした地域一体となった地方創生への支援強化と、経済安全保障に資する半導体や電気自動車など成長 産業の国内への投資拡大を強力に後押しされたい。
4.大規模災害に備えた強靭な国土づくりと福島再生の推進を
激甚化する風水害や大規模地震などの危機に備えて、感染症も含めた企業のBCP策定や地域間協力協定など地域の防 災・減災対策の取り組みを推進する。政府には、港湾・空港の機能強化など国土強靭化、安全・安心で活力ある国土づく り、地方交通の再生を一層推進されたい。また、震災復興では、国が前面に立って福島再生に注力されたい。
5.国際ビジネス交流を拡大し、中小企業の輸出拡大の推進を
北東アジアやASEANなどアジア諸国への商工会議所ミッションにより国際ビジネス交流を拡大させ、中小企業の「世界で稼ぐ」意識を醸成し、輸出・海外展開を推進する。政府には、海外市場の情報提供と越境ECなどによる中小企業の輸出拡大への支援を強化されたい。
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