「和食」(日本人の伝統的な食文化)」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは2013年。今年は、登録10周年に当たり、文化庁と共に和食文化の保護・継承に取り組む一般社団法人和食文化国民会議などが各種の取り組みを進めている。これに続き、「伝統的酒造り」も昨年、登録申請を行った
また、昨年は京料理と生菓子(菓銘を持つ生菓子)が文化庁の登録無形文化財に登録された。京料理は、京都の地で育まれてきた調理・しつらい・接遇・食を通じた「京都らしさ」を表現するもので、日本の生活文化に係る歴史上の意義と芸術上の高い価値を有する食文化の代表でもある▼
このような流れを受けて、文化庁食文化担当(現生活文化連携担当)参事官室では、21年度より、わが国の多様な食文化 の継承・振興への機運を醸成するため、地域で受け継がれ愛されている食文化を掘り起こし、100年続く食文化(「100年 フード」および食文化への学びや体験の提供に取り組む博物館、施設などに関する情報を一体的に発信する「食文化ミュ ージアム」の認定と支援の事業を開始した▼
22年度末現在、全国で201件の100年フードと98件の食文化ミュージアムが認定されており、今年度も募集を続ける▼
食文化は、地域の祭りや伝統芸能、伝統工芸などとも深いつながりを有するばかりか、日々の暮らしの中に根付く最も身近な文化でもある。海外顧客も含め、日本の文化を味わっていただくには格好の素材でもある。100年フード部門には、過去の歴史も踏まえて新たな食文化を創造する「未来フード」部門もある。食が地域の未来を開く、そんな突破口になれば素晴らしい。
(観光未来プランナー・日本観光振興協会総合研究所顧問・丁野朗)
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