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テーマ別企業事例 今一番欲しい中小企業の頼れる助っ人 現状を打破するITコーディネータ

事例1 新たな事業を展開するために外部専門家の助言を活用

ナカダイ(群馬県前橋市)

群馬県前橋市にある廃棄物処理工場は、まるで生産工場のようにきれいに整理整頓されている

産業廃棄物処分の中間処理業や中古品の再利用、リサイクルなどを主な業務としているナカダイは、東京に本社があり、処理工場と物品再生工場を群馬県前橋市に持っている。約10年前から始めた事業改革で新たな取り組みを行っていく中で、外部専門家の意見を取り入れる必要性を感じたことから、現在はITコーディネータに定期的にその経過を確認してもらい、業務改善に役立てている。

廃棄物を新たな素材に生まれ変わらせる会社に

ナカダイは1937年、東京都品川区でスクラップ処理を行う鉄鋼商、中台商店として創業し、今もその地に本社を置いている。創業者の孫で、現在は常務取締役として会社を切り盛りしている中台澄之さんは、大学卒業後は証券会社に就職していた。しかし、父親で同社社長の正四さんから会社が総合リサイクル業に乗り出すと聞き、同時に誘いもあったことから証券会社を辞めて同社に入社した。1999年のことだった。

「入社してからは懸命に働き、売り上げも従業員数も伸ばしていきました。また、集めた廃棄物を細かく分別して、リサイクル率を極限まで上げることに取り組み、リサイクル率が99%を超えるようにもなりました。でも、やっているうちに違和感を持つようになったんです。取引先企業の話を聞くと、どこも経費削減のためもあり、廃棄物の量を削減するよう努力している。廃棄物を減らすことは世の中にとっていいことなのに、僕ら廃棄物処分業者にとって、それは売り上げの減少につながるので素直に喜べない。この業界の構造的な矛盾に疑問を持つようになったのです。そこで2007年に、新たなコンセプトを立てて、会社を別の方向にシフトしていこうと考えました」と中台さんは言う。

中台さんが考えたのは、集めた廃棄物を効率的にリサイクルするだけではなく、廃棄物を丁寧に分別、解体、選別して、そこから新しい素材を生み出していく“生産会社”という新たな会社の姿だった。「集めたものをスクラップとして売るのではなく、そのまま何かの素材として使えるようにして販売しようと考えたのです」

現場の課題解決には第三者の視点が重要になる

そこで中台さんは11年、「発想はモノから生まれる」をコンセプトに、群馬県前橋市にある廃棄物処理工場の敷地に「モノ:ファクトリー」を設立。廃棄物を“マテリアル”(素材)として販売することを始めた。

「廃棄物をリサイクルではない別の形で使うことを世の中に発信する仕組みをつくるためには、社内のIT化が重要になってくる。社内のITスキルが外部に通用するレベルにあるのかを確認する必要がありました。そこで昨年、幹部社員に中小企業大学校の講習を受けてもらうことにしました」 中小企業大学校とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業の経営者や後継者を対象にした研修を行う機関で、全国に9校ある。そこでIT活用関連の講習を受けさせることにした。

「ITの研修なので、こんな便利なソフトがありますよなどと言われて帰ってくるのかと思っていました。ところが実際は、会社のビジョンは何か、そのビジョンで事業を行うためには何が課題かを挙げた上で、それを解決するためにITを使いなさいと言われ、受講した社員たちは、会社の理念的なところを深く掘り下げて帰ってきたんです。このときに講師を務められたのがITコーディネータ(ITC)の堀明人さんで、その研修で終わりにするのではなく、その後も会社がやっていることが正しい方向に進んでいるか、今年から定期的に見ていただくことにしました。現場の課題を解決するためには客観的な見える化をする必要があり、ITのことを教えていただくというよりも、そのプロセスの中で第三者の知恵が入ることに魅力を感じました」

ITCを使い倒すくらいの姿勢で取り組む

同社では現在、現場の課題を見える化するためにさまざまな業務のデータを取り、それを分析している。廃棄物には多くの混合物が入っており、それらを取り除いた上で処理する必要がある。廃棄物の処理は重さでその金額が決まるため、原価計算をしっかり行わないと、正確な利益率が分からない。また、届いた廃棄物をどこに置き、人数をどれだけ割けば処理効率がいいかは、廃棄物の種類によって変わってくる。さまざまな作業を試行錯誤しながら行い、データを蓄積している。

「それらのデータを1カ月から1カ月半に1回、堀さんに見ていただいています。僕らの会社の理屈だけで作業を行っていたら、多少の問題があっても、まあいいかとなってしまいますが、堀さんは僕らが気付かなかった改善方法をアドバイスしてくれる。いい意味で廃棄物に関して素人の目線だからこそ、問題点を見つけることができる。データの取り方にしても、こういう方法の方が正確に取れますよと言っていただける。これが、外部の有識者であるITCの方に見ていただく利点だと思います」と中台さんは言う。

同社では今、廃棄物を新たな素材として生まれ変わらせる、新しい産業の形の構築に向けて動いている。また、生産された製品がいつか廃棄されるときのことを考え、それらをリサイクルやリユースするために解体しやすいものづくりをする枠組みを、メーカーや流通業者と共同でつくっていくことも考えているという。

「この枠組みを全国の産業廃棄物業者に展開していきたい。そのためにはITCのような外部の助言は重要で、言葉は悪いですが、ITCの方を使い倒すくらいの姿勢で取り組んでいきたいと思っています」

新たな取り組みに挑戦するために外部専門家のアドバイスを受ける。これもITCを活用する一つの方法である。

会社データ

社名:株式会社ナカダイ

所在地:群馬県前橋市駒形町1326(前橋支店・工場/モノ:ファクトリー)

電話:027-266-5103

HP:http://www.nakadai.co.jp/

代表者:中台正四 代表取締役

従業員:64人

※月刊石垣2018年10月号に掲載された記事です。

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