政府は4月25日、第17回新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開催し、「科学技術・イノベーション」「GX・DXなどを進めるための企業参入・退出の円滑化」などの論点を示した。日本商工会議所の小林健会頭は、生成AIの活用などについて、「国際的なルールづくりに主体的に参加すべき」と提言。岸田首相は、「利活用に向けた環境整備を進める」と述べた。
日商の小林会頭は、生成AIについては、「わが国経済の好循環を実現するために、生成AIのような不可逆的なイノベーションに企業が適応することが必要」と指摘。「今後、活発化するであろう国際的なルールづくりには主体的に参加すべき」との考えを示した。
また、中小企業などによる新事業創出、業態変革に向けた環境整備を要請。具体的には、「事業成長担保権の創設など、旧来の不動産担保や経営者保証に頼らない資金調達方法の確立、イノベーション・ボックス税制の創設など、企業の取り組み を後押しする政策を総合的にデザインすべき」と述べた。
参入・退出の円滑化に向けては、「退出支援策はあまり知られていないというのが実態だ」と述べ、「退出を希望する者の判断を遅らせる要因を解消する環境整備の強化、現行支援策の周知が重要。商工会議所としても経営支援の一環として協力する」との考えを表明。経営者の選択肢を広げるため、「何より早期の相談が重要。専門家や金融機関の協力の下で、相談体制の強化が必要である」との見方を示した。
岸田首相は、生成AIについて「活用の仕方によって、人手不足への対応などの労働生産性の向上が期待される」と指摘「産業側での利活用に向けた課題の洗い出しと開発の促進などの環境整備を進める」との考えを表明した。
企業の退出の円滑化については、「企業経営者が事業不振の際に、早い段階からM&A・事業再構築・廃業などの幅広い選択肢について、専門家に相談でき、意思決定できる体制を官民で全国的に整備し、支援策を講じる」と強調。加えて、金融債務の減額などを容易にする事業再構築法制の提出や、企業のノウハウや無形資産を基礎に融資を行う事業成長担保融資の拡大を進める考えを示した。
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