日本商工会議所の小林健会頭は5月26日、定例の記者会見で、少子化対策について「過去年にわたる政策について効果の検証をしっかり行い、政策のプライオリティづけが必要」との考えを改めて表明した。財源については「社会保障給付も含めた徹底的な歳出改革が第一だ」と強調。マイナンバーカードの登録を巡るトラブルについては、制度自体には賛同した上で、「問題が生じた場合に迅速に把握し、検知したら、当事者が不利益を被らないようすぐに対応できるシステムの構築が重要だ」と述べた。
小林会頭は、少子化対策について「こども未来戦略会議」における議論に触れ、「政府はこれまで少子化対策を約30年間行ってきているが、結果として効果が出ていない。まず 過去の検証を行い、その上で政策メニューを提示し、その中でプライオリティをつけ、必要な予算規模を算出し、最後に財源をどうするか、というのが通常の筋道である」と強 調した。また、「現金給付ありきでの議論の進め方には違和感がある」と指摘。財源については「徹底的な歳出改革」「国内投資拡大の動きや賃上げのモメンタムの継続による経済の好循環に伴う歳入増」の2点を挙げ、「その上で、どうしても不足する財源について、あらゆる選択肢を検討し、国民の理解を得られる形で広く負担してもらうのが順序である」と述べた。
こども未来戦略会議で増税を封印した上で戦略会議の取りまとめを行うこととなったことについては「『骨太の方針』までに財源を明言できるかどうかは甚だ疑問だ」と指摘。 「財源については年末ぐらいまでかけて十分に議論しても良い」と述べ、「選択肢は限られており、今、拙速に決める必要はないと思う」との考えを示した。
財源を社会保険料への上乗せで確保するという政府案については「広く負担をお願いするという点では合理的」と指摘。一方で、「日商としては中小企業の実情を踏まえ、当 然ながら負担増に対する対策を要望することになるだろう」と考えを示した。
マイナンバーカードの登録を巡るトラブルについては、「官公庁・自治体の業務の合理化の観点でも必要な制度だ」と制度自体には賛同を表明。「今回のトラブルについては、 誤入力など人為的なミスによって起きたものであり、システムそのものの問題ではないと思っている」との見方を示した上で、「そういった問題が生じた場合に迅速に把握し、検知したら、当事者が不利益を被らないようすぐに対応できるシステムの構築が重要だ」と述べた。
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