Q 昨今の世界情勢から安定した電力供給が難しくなる中、電力供給問題がしばしば取り上げられています。当社でも、社員一人一人が協力できる節電対策に取り組んでいるところですが、照明やOA機器の対策について、効果的な方法を教えてください。
A 節電対策は、すぐにできるもの、勤務の形態や条件の見直しが必要なもの、設備投資が必要なものに分けて取り組むのが効果的です。照明の間引きや消灯の徹底、OA機器の省電力設定などは目標を決め、投資が必要な機器の買い替えは計画的に進めます。省エネ診断など専門家によるサービスを活用すると、より効果的に取り組むことができます。
脱炭素社会を実現し、安定的なエネルギーの供給を確保するため、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)が今年4月1日に施行されました。電力供給の不足とならないよう、企業も率先して、節電に協力していく必要があります。
現状を把握し、全員で取り組む
節電は、電力の無駄をなくし、効率的に使用することです。電力の使用量は、使用機器の消費電力、稼働時間、稼働台数で決まりますから、これらをいかに減らすかが節電のポイントといえます。
そのためにはまず、電力使用の現状把握が必要です。機器の消費電力は、カタログなどで調べることができます。現場の社員から無駄に稼働している機器や必要以上に稼働している時間がないかなどを聞き取ります。現場をよく知る社員の理解と行動がなければ節電も進みません。自社の電力消費の現状について勉強会を開催したり、自分たちが率先してできる節電対策を皆で話し合ったりして、相互に理解を深めます。
現状が整理できたらどのように取り組むかを検討し、①すぐにできるもの、②勤務の形態や条件の見直しが必要なもの、③買い替えなど投資が必要なものに仕分けて具体的な計画に落とし込みます。
取り組む際は、個人任せにせず、具体的な節電目標を掲げること、全社員の活動として進めることが大事です。一人一人がコスト意識を持って節電設定や使い方を工夫すれば、不要な出費を抑えられ大きな成果につながります。
今すぐできるパソコンの節電
①省電力の設定
スリープは、作業再開時、すばやく通常の電力状態に戻すことができる省電力機能です。シャットダウン(電源オフ)よりも、スリープの方が消費電力は小さいので、昼休みなど休憩時間には、スリープを活用するのが効果的です。
また、視認性に問題のない範囲でディスプレイの明るさ(輝度)を適度に抑える方法は、どんな機種でもできる効果的な節電対策です。
②バッテリーの効果的な利用
ノートパソコンのACアダプタは、本体が接続されていなくてもコンセントにささったままだと電力を消費します。ノートパソコンを持ち出す際にはACアダプタもコンセントから抜くようにしましょう。
また、夏の日中で最も多く電力を消費するピークタイムの午後2~3時頃は、ノートパソコンはACアダプタを使わずバッテリーを使うと節電効果が高まります。
効果の高い照明の節電
執務フロアは十分な明るさ(照度)が必要ですが、廊下やトイレなども同じ明るさが必要というわけではありません。不要な照明はOFFにして間引き、こまめにスイッチをON・OFFするようにします。使用頻度の低いフロアや人員がまばらなスペースでは、明るさの変更も有効です。自然の日照を生かして日中は消灯することも取り組んでみましょう。
また、LED照明への変更や関連設備の最新化などで投資が必要な場合は、国や自治体が提供している省エネ診断などを活用して専門家のアドバイスを受けると、より効果的に進めることができます。
(中小企業診断士・竹内 敏則)
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