政府はこのほど、一定の専門性・技能を有する外国人の在留資格「特定技能制度」(1号=12分野、2号=2分野)のうち、熟練した技能を有する特定技能2号について、1号のみ対象だった9分野を2号の対象に追加することを閣議決定した。具体的には、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業を追加。2号を取得すると在留期間の上限がなくなり、要件を満たせば家族の帯同も認められる。当該技能水準を満たしているかどうかは、試験と実務経験で確認。今秋以降に特定技能1号からの移行試験を随時実施する。
在留期間の上限が5年の「1号」(12分野)で永住や家族帯同が可能な2号の対象だったのは、「建設」「造船・舶用工業」の二つだけ。今年2月末現在で14万人を超える在留者がいたが、熟練技能が求められる「2号」(2分野)は、わずか10人のみだった。政府は当初、5年間で最大34万人の受け入れを見込んでいたが、コロナ禍で、想定を大きく下回る結果となっていた。
外国人材の受け入れ・共生に関する閣僚会議の下に設置した「技能実習制度および特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が5月に取りまとめた「中間報告書」では、特定技能制度について、「制度の適正化を図り、引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き議論する」と記述。「外国人が成長しつつ、中長期に活躍できる制度の構築」に向けては、現行の技能実習の後継制度と特定技能制度の対象職種や分野を一致させることなどを盛り込んだ。
後継の新制度では、人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることに加え、外国人の保護の視点から従来より緩和。外国人の日本語能力については、来日後に段階的に向上する仕組みを設ける。
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