東京商工会議所(東京都、小林健会頭・三菱商事)はこのほど、中小企業のデジタルシフト・DX推進委員会が取りまとめた「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」の結果を公表した。都内の中小企業にデジタルシフトの状況、計画・目的、成果・効果、デジタルシフト・DXの課題、デジタル人材、サイバーセキュリティ対策などに関するアンケートを実施。調査結果では、コロナ禍で中小企業のIT導入は進んでいるものの、依然としてデジタル人材の不足が一番の課題になっている現状が浮き彫りになっている。
中小企業のデジタルシフトの状況(導入・活用レベル)について、各社の現時点の状況を四つにレベル分けして調査。レベル1の「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と回答した割合は全体の18.8%(前回2021年2月調査比3.9ポイント減)、レベル2の「紙や口頭でのやり取りをITに置き換えている」は30.6%(同8.0ポイント増)、レベル3の「ITを活用して社内業務を効率化している」は43.6%(同0.6ポイント減)、レベル4の「ITを差別化や競争力強化に積極的に活用している」は6.7%(同0.6ポイント増)となり、中小企業のデジタル対応は徐々に進展している傾向が明らかになった。
デジタルシフトの計画については、すでに「策定している」企業は21.2%。「策定を検討している」企業は46.3%で、「策定する予定はない」と回答した企業は30.2%だった。デジタルシフトの目的については、「業務効率化」が94.1%で最多。次いで「コスト削減」(53.1%)、「企業文化、働き方の改革」(48.7%)、「顧客満足度の向上」(32.7%)の順で多くなっている。
デジタルシフトの取り組みの成果については、全体で最も多かったのは「業務効率化」で81.4%。一方、レベル4の企業では、「業務の見える化」や「社内コミュニケーション促進」なども上位に挙げられた。デジタルシフト・DXの課題の上位2つの回答は、「旗振り役が務まるような人材がいない」(33.8%)、「従業員がITを使いこなせない」(29.5%)で人材面に関する回答が多い結果となった。また、「コストが負担できない」(27.0%)、「業務内容に合ったデジタルツール・サービスが見つからない」(24.5%)、「導入の効果が分からない、評価できない」(23.0%)、「頼りになるアドバイザーなどがいない」(20.4%)などの回答も2割を超えた。
デジタル人材の確保状況については、「あまり確保できていない」と答えた企業が42.4%と最多。「全く確保できていない」と答えた企業も19.5%となり、61.9%の中小企業がデジタル人材の確保に苦慮していることが明らかになった。
サイバーセキュリティ対策の状況については、「ある程度対策している」と回答した企業が69.1%と最多も、「十分に対策している」と回答した企業は16.9%にとどまる結果となった。一方で、「あまり対策していない」企業は12.0%、「全く対策していない」企業も1.5%あった。サイバーセキュリティ対策に関する課題については、「社内の危機意識が低い(ない)」(28.2%)、「対策を進めることができる人材がいない」(25.7%)、「対策の効果が分からない、評価できない」(21.1%)の順で多くなっており。一方で、「特に課題はない」と答えた企業も27.0%あった。
調査期間は、2023年5月15~6月22日。対象は、主に東京23区内の会員中小企業約1万社で回答数は1336社(回答率13.3%)だった。
詳細は、https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1034396を参照。
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記事提供: 日本商工会議所
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