政府はこのほど、安全保障上重要な機密情報の取り扱いをできる人にアクセス権を与える「セキュリティ・クリアランス制度」の整備に向けて、有識者会議における議論を踏まえた中間論点整理を策定、公表した。有識者会議は今年2月14日に設置され、4カ月間で6回にわたり議論。今後は、同提言が示した方向性を踏まえ、詳細な制度設計を含めてさらなる検討を進める。
中間論点整理では、国としての制度の必要性、企業からのニーズ、経済安全保障上重要な情報指定の範囲など新たな制度の方向性などを提示。主要国と異なり、特定秘密保護法では、政府が特定秘密として指定できる情報の範囲が、防衛、外交、特定有害活動、テロの4分野に限定され、経済安全保障に関する情報は必ずしも保全の対象でないことから、情報保全の強化が必要との考えを示している。
企業からのニーズとしては、同盟国などの政府調達などにおいて「相手から十分な情報が得られない」「情報開示に時間がかかる」「政府主催か否かを問わず特定の会議に参加できない」「国際的に通用する制度や国際的な枠組みがあれば状況は変わったのではないか」といった困難を訴える声があることを提示。こうした企業の声は、経済・技術の分野にも対応した制度の下でセキュリティ・クリアランスを保有していれば、いわば「信頼できる証」として対外的に通用することになることを示唆しているとして、「制度整備に当たっては、情報保全全般が米国など主要国との間でも認められる必要がある」との考えを示した。
新たな制度の方向性については、「相手国から信頼されるに足る実効性のある制度」を目指すことを強調。同盟国である米国の制度や他の主要な同志国の制度などを踏まえて検討すべきと提案している。 具体的な方向性として経済安全保障上重要な情報の指定については「わが国として真に守るべき政府が保有する情報に限定する」との考え方を明記。特定秘密保護法の4分野と同様またはそれに準ずるものとして「例えば、経済制裁に関する分析関連情報や経済安全保障上の規制制度の審査関連情報、サイバー分野での脅威や防御策に係る情報、宇宙・サイバー分野などでの政府レベルの国際共同開発にもつながり得る重要技術情報なども念頭に、厳格に管理すべき経済安全保障上の情報の範囲について検討を深めるべき」との考えを示した。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/index.htmlを参照。
最新号を紙面で読める!