政府は10月22日、「第20回未来投資会議」を首相官邸で開催した。会合では高齢者雇用の促進や中途採用の拡大などについて議論した。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「人手不足がますます深刻化する中で、元気で働く意欲のある高齢者の就業機会を拡充することはぜひとも必要」と強調。また、高齢者雇用の促進により、健康年齢の引き上げや医療・介護費の削減など、多くの効果が期待できることも指摘した。
三村会頭は、高齢者雇用の促進を求める一方、65歳以上の高齢者には健康状況と意欲について大きな格差が存在すると考えられるため、「法制化、あるいは、実質的な義務化により、一律強制的に継続雇用年齢を引き上げることには反対」と述べた。
また、従業員の健康増進のための取り組みにかかる支出をコストでなく、経営的な投資として前向きに捉える健康経営について言及。三村会頭が共同代表を務める日本健康会議が進める、保険者や商工会議所のサポートを得て健康づくりに取り組むことを表明する「健康宣言」を行った企業数が2万3000社に上るなど、企業の健康経営に対する意識が高まっている点を指摘した。さらに、健康経営が予防・健康づくりに極めて効果的であり、地域金融機関が金利優遇のインセンティブを付与するなどの事例も増えていることから、こうした取り組みの横展開を一層加速するため、健康経営アワードの創設や、健康経営投資に対する税制優遇を含むインセンティブの検討を政府に求めた。
中途採用の拡大については、大企業中心の中途採用に焦点を当てて政策を進めることに対して、「中途採用が主体の中小企業の人材確保に大きな影響が出る」と懸念を表明。日本全体の労働市場の在り方を見据え、雇用の流動化を可能とする法整備、働き方改革、年功序列など日本的雇用制度の現状などを総合的、網羅的に検証して結論を出すよう求めた。
安倍晋三首相は、「65歳以上への継続雇用年齢の引き上げについては、70歳までの就業機会の確保を図り、高齢者の希望・特性に応じて、多様な選択肢を許容する方向で検討したい」と述べた。中途採用の拡大については、「中途採用を大企業が拡大していくことによって、中小企業が受ける影響など、さまざまな課題についてもしっかりと留保しながら進めていきたい」とコメントした。
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