日本商工会議所の小林健会頭は9月1日、定例の記者会見で、ALPS処理水の海洋放出を受けた中国側の対応などについて「今回の場合は看過できない部分もある」と懸念を表明した。科学的な根拠に基づかない発信で、水産物だけでなく食料品の取引にも影響が出ていることについては「非常に遺憾であると言わざるを得ない」と指適。政府の追加支援策については「商工会議所としても、全面的に支援していきたい」との考えを示した。
小林会頭は、ALPS処理水の海洋放出開始を受けた風評被害について、「今回の場合は看過できない部分もある」と述べ、「国際原子力機関(IAEA)など国内外の機関のチェックを受け、科学的根拠に基づき安全であるというお墨付きを得て海洋放出している。水産物のみならず日本産の食料品の取引にも影響が出始めていることを考えると、科学的 な根拠に基づかない発信には、憂慮するだけではなく、非常に遺憾であると言わざるを得ない」と懸念を表明。一方、岸田首相が、水産物を中心に、中国以外の輸出先の開拓や、国内加工体制の整備など五つの柱に基づいた追加支援策を発表したことに触れ、「商工会議所としても、被害に遭っている会員企業に対し、全面的に支援していきたい」との方針を示した。
今年、最低賃金の全国平均が1000円を超えたことについては、「一つのエポックだと思う。三要素を労使で徹底的に議論して地域性を加えて出た結果であり、議論の過程の透明性も高かった」と引き上げ自体は評価した一方、今後の進め方については、「当面これで良いと思う。三要素を基にした議論をしっかりするということだ」と強調した。
また、岸田首相が8月31日に開催された「新しい資本主義実現会議」で「2030年代半ばまでに1500円を目指す」と発言したことについて、「非常に気遣いをされた言い方だと思う。毎年、政府方針が出て、結果的にその数字ありきになることは避けたいと思っていた。最低賃金審議会で三要素に基づき、労使で十分に議論し、納得して決めることがベースにあり、政府が目標感を出すこと自体は特に否定しない」との考えを表明。目標については、「支払い能力を超えた金額を目標にしても仕方がない。企業が12年後に1500円を支払えるようになるためにどのような環境整備するかだ」との考えを示した。
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