公正取引委員会はこのほど、2018年度上半期(4~9月)における下請代金支払遅延等防止法(下請法)の運用状況を公表した。改善を求める指導件数は5045件で、このうち3427件が製造委託などに係るもの、1618件が役務委託などに係るものだった。勧告件数は3件で、いずれも製造委託に係るものとなった。
指導または勧告を行った措置件数を業種別に見ると、製造業が最多(2221件、44・0%)となっている。卸売・小売業(1042件、20・6%)、運輸業・郵便業(536件、10・6%)が後に続いている。
勧告または指導を行った事件における下請法違反行為を類型別に見ると、発注書面の交付義務などを定めた手続き規定に係る違反が4393件、親事業者の禁止行為を定めた実体規定に係る違反が4411件となっている(なお、一つの事案に対し、複数の行為類型について勧告または指導を行っている場合があるため、違反行為の類型別件数の合計と、勧告および指導の合計件数は一致しない)。
実体規定違反行為の類型別内訳としては、下請け代金の支払い遅延が2124件(実体規定違反行為の類型別件数合計の48・2%)と最も多い。次いで、買いたたき(1004件、同22・8%)、減額(523件、同11・9%)となっており、これら三つの行為類型で全体の8割以上を占めている。
下請け事業者が被った不利益については、親事業者134者から、下請け事業者5989者に対し、下請け代金の減額分の返還など、総額4億4049万円相当の原状回復が行われた。
親事業者や下請け事業者からの情報収集を目的に行っている書面調査については、2018年度においては、6月に資本金の額または出資の総額が1000万円超の親事業者6万者を対象に実施。また、10月に当該親事業者と取引のある下請け事業者30万者を対象に実施した。
詳細は、https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/nov/181107_2.htmlを参照。
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