日本商工会議所はこのほど、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2018年度の所定賃金の動向などについてヒアリングした結果を発表した。「賃金の引き上げを実施した(予定含む)」企業は63・5%と17年9月調査と比べ、1・0ポイント減少した。「賃金の引き上げは見送る」は21・1%と0・5ポイント減少し、「現時点では未定」は15・4%と1・5ポイント増加した。
業種別の賃金引き上げ実施割合は、建設業が73・1%、製造業が70・4%、卸売業が70・8%と7割を超えた。一方、小売業は48・4%と5割を切った。賃金引き上げの内容(複数回答)は、「定期昇給」が76・4%、「ベースアップ」が37・4%となった。
ヒアリングした企業からは、「売り手市場で従業員が流出しているため、定期昇給に加えてベースアップ、一時金の増額により採用数を補っているが、その分生産性が悪化している」(金属加工)、「売り上げが減少し、建材価格の上昇によって採算も悪化しているが、人手不足の解消、従業員の退職防止のために、賃上げを行わざるを得ない」(建設)といった声が寄せられた。
また、今回の付帯調査では、2018年7月に行われた日銀の政策修正以降の金融機関の貸し出し姿勢についてもヒアリングを実施した。金融機関の貸し出し姿勢について、「積極化している」と回答した企業は16・5%、「以前と変わらない」は55・7%だった。金融機関が貸し出し姿勢を積極化している具体的な内容(複数回答)は、「融資の増額(新規融資を含む)」が62・9%、「借り換えなどの際の金利引き下げ」が49・0%となった。
ヒアリングした企業からは、「設備が老朽化している中で、融資の増額など、銀行の積極的な貸し出し姿勢が感じられるものの、売り上げ、採算ともに悪化しているため断念ぜざるを得ない」(小売)、「車両入れ替えの時期となり、資金繰りが悪化しているため銀行から融資を受けたいが、銀行の貸し出し姿勢は以前と変わらない」(運送)といった声が聞かれた。
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