飲食店の例
地域一番店商法はエリアマーケティングの手法で、中でも王道のやり方について前回まで解説してきた。今回は、時流に適応させながらどうやればいいかが焦点だ。
キーワードは「ネットとリアルの融合」だ。
「ネットは分からないから……」と感じる人は、「アナログとデジタルの融合」ぐらいの意味で捉えてもらっても、まずは構わない。
デジタルとは例えばLINEだ。LINEのユーザー数は今年で9500万人。全人口の75%が使っている。一方アナログの代表はチラシ。つまり「アナログとデジタルの融合」とは、一例で「LINEとチラシの融合」ともいうことができる。
LINEのビジネス版がLINE公式だ。今回は、LINE公式を使った集客の前段となる認識について説明する。
ズバリ聞くけど、皆さんはGoogleマップでの自店の評価を気にしているだろうか。
セミナーの参加者にそば店店主がいてね。おいしくて地元で繁盛している。この店が県内の観光地に2号店を出した。が、さっぱり売れない。味は一緒なのに全然お客が入らない。それで相談を受けて、何気にGoogleマップを見ると――。
その店の隣にもそば店があって、そっちはスコアが4・2ポイント。こっちは3・5ポイントだった。以下は店主との会話だ。
「Googleマップでの評価って、見たことあります?」
「ないですね。勝手にやってるものだと思っているから。私は気にしません」
「知らないまちで食事するとき、あなたはGoogleマップで店のスコアをチェックしないの?」
「いえ、見ますよ」
「じゃ、なんで自分の店も見て判断されてると思わないの?」
「あ、そっか」
まるで落語だけど、本当の話だ。これは別に店主が間抜けなんじゃなくて、自分のことになると、皆そういうものなんだよ。言われるまで気付かない。
第一歩を始めよう
「ネットとリアルの融合」と聞くと、客層が全然違うから別な売り方をしなきゃいけないんじゃないか、とか、「SNSでバズらなきゃいけないんでしょ?やり方、分かんないよ」とか思うだろうけど、それらは全部誤解だ。
実際は、「クレームの書き込みに誠実に対応する」「マイナス評価された点は必ず改善する」「書き込んでくれた人にちゃんとお礼を言う」の三つをきちんとやっていくことも、「ネットとリアルの融合」の立派な第一歩だ。
経営者の思惑と関係なく、店はもうネット上でもお客さんとつながっている。「自分はネットはやらないから」というのは言い訳にならない。むしろ、ネットでのつながりをリアルとうまく掛け合わせることが、これからの地域一番店商法でも重要だ。
情報を届けるツールとして、LINE公式は集客商品を売るのに向いており、YouTubeは主力商品を売るのに適している。
(日本販売促進研究所商業経営コンサルタント・佐藤勝人)
【お知らせ】 コラム「佐藤勝人の地域一番店商法」は今回をもちまして休載とさせていただきます。(日商広報部)
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