ダヤ教の安息日の最終日に当たる10月7日、米国がテロ組織に指定していたイスラム組織ハマスが、パレスチナ・ガザ地区からイスラエルに向けて4000発のミサイルを撃ち込んだ。同時に、陸海空から約1000人のハマスの兵士が、イスラエルに対して奇襲攻撃を行った▼
彼らはガザ地区との境にある村やキブツ(農業共同体)、それに、野外音楽フェスティバルに参加していたイスラエル人や外国人など約1000人を殺害し、さらに約220人の人たちを人質としてガザに連行した▼
この攻撃で使用されたミサイルやその他の武器は、イランの革命防衛隊が製造技術や材料を提供し、ガザ地区に広範に張り巡らされたトンネルの地下工場で2年間かけて製造・貯蔵されたものである▼
ガザ地区は、世界最大の天井の無い監獄とも称されているように、パレスチナ人に自由に出入国する権利はない。さらに、最近、イスラエルは30年前の1993年9月にパレスチナと締結されたオスロ合意を無視して占領地であるヨルダン川西岸の入植を積極的に進めていた▼
ハマスは、自身がイスラエルに軍事的にも負けると分かっていながらも、このような絶望的な攻撃を行うしかなかった。これは、半世紀にわたるイスラエルの封じ込め政策に対する一種のガザ地区に住むパレスチナ人の悲痛な叫びでもあった▼
この先、イスラエルが自衛権の行使としてガザに地上軍を派遣し、占領・統治してもガザは長い間、泥沼化する懸念が大きい。従って、この地域を安定させるためには、まず、イスラエルはヨルダン川西岸での違法な入植を中止し、オスロ合意に基づくイスラエルとパレスチナの2国家共存の道しかない
(政治経済社会研究所代表・中山文麿 10月31日執筆)
最新号を紙面で読める!