日本商工会議所の小林健会頭は10月19日、定例の記者会見で、連合が掲げる2024年春闘に向けた統一要求の賃上げ目標「5%以上」について、「目標を掲げるということ自体は否定しないし、理解する」と述べ、「中小企業においては難しいのではないかと思う」との考えを示した。中小企業の持続的な賃上げに向けては、取引価格の適正化の重要性を強調。大企業の経営トップに対し、「中小企業の価格転嫁の訴えをよく聞いてほしい」と述べた。
小林会頭は、連合が掲げる2024年春闘に向けた統一要求の賃上げ目標「5%以上」について、「少なくとも、中小企業においては難しいのではないかと思っている」と指摘。「目標を掲げること自体は否定しないし、理解する」と述べた上で、「パートナーシップ構築宣言などの運動を一層続けていくにしても、価格転嫁交渉の実態や、円安、原材料費の高騰などを踏まえると、実感としてはちょっとつらいなという感じだ」との考えを述べた。
中小企業の持続的な賃上げに向けて必要な点については、「第一に価格転嫁と労務費の上昇分を反映した取引価格の適正化だ」と強調。「サプライチェーンの中で、親会社や大 企業の経営トップが、中小企業の価格転嫁に関する訴えをよく聞いてほしい。防衛的賃上げではなく、賃上げの原資をひねり出していくということが一番大事なポイントだ」との考えを改めて示した。
また、「『良い物を大量に安く』という時代が終わって、今は『良い物には値がつく』時代である」と指摘。「生産者あるいは売り手の立場からすると、『良い物を適正な価格で買ってもらえれば、自分たちの懐に帰ってくる』ということになる。消費者には長い目で見て、値上げを容認していただきたい」と呼び掛けた。
岸田内閣の支持率については、「われわれ経済人は、政策の良し悪しに重点を置く。その政策の継続性、実効性を担保できる政権かどうかが重要だ」との考えを表明。「さまざ まな批判もあるが、安倍政権、菅政権で積み残した重要政策にも正面から向き合っている。原発の再稼働や安全保障・防衛問題などにも一歩踏み出している」と評価した。
東京23区の不動産価格の高騰については、「多様な人々が住む都会であることが東京という地域の魅力の源である」との見方を表明。「一般的な収入の方が住宅を購入できない不動産価格になっている状況は残念だ」と述べた。
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