政府は2023年12月22日、首相官邸で第2回「こども政策推進会議」と第10回「全世代型社会保障構築本部」の合同会議を開催し、「こども未来戦略」「こども大綱」「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」を閣議決定した。
このうち、今後5年程度の政策の基本的な方針・重要事項を定める「こども大綱」は、こども基本法、こどもの権利条約などの理念を六つの柱に整理したもの。今回の大綱では、こども施策に関して、学童期のいじめ防止、不登校の支援、校則の見直し、青年期の就労支援、結婚支援などライフステージ別の重要事項、子育てや教育に関する経済的負担の軽減、ひとり親家庭への支援などの子育て当事者への支援に関する重要事項も示した。具体的施策については、毎年6月頃をめどに「こどもまんなか実行計画」として、こども政策推進会議で策定する。
こども未来戦略では、3.6兆円規模の今後3年間(24~26年度)で集中的に取り組む「加速化プラン」において、「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取り組み(1.7兆円程度)」「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援拡充(1.3兆円程度)」「共働き共育ての推進(0.6兆円程度)」「こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革」などの施策を提示。具体的には、児童手当の抜本的拡充、出産などの経済的負担軽減、医療費・高等教育費の負担軽減、個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援、いわゆる「年収の壁(106万円、130万円)」への対応、子育て世帯への住宅支援強化などを盛り込んでいる。
加速化プランを支える財源確保については、徹底した歳出改革などによって確保することを原則とし、実質的な負担が生じないとの考え方を提示。このうち、歳出改革については、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に沿って取り組む。
具体的には、既定予算の最大限の活用などで1.5兆円程度を確保。また、公費節減効果で1.1兆円程度、26年度から28年度にかけて段階的に構築する支援金制度で1.0兆円程度を見込んでいる。
会議に出席した岸田文雄首相は、「こども政策の推進に当たっては、その意義や目指す姿を国民一人一人に分かりやすいメッセージで伝えるとともに、子ども・子育て世帯にしっかりと届かせることが何よりも大切」と強調。関係閣僚が連携して取り組むよう指示した。
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