政府はこのほど、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報「CI」に国が認めた人だけにアクセス権を与える「セキュリティ・クリアランス制度」を検討していた「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議」の「最終とりまとめ」を公表した。
最終とりまとめでは、新たな制度の具体的な方向性として「情報指定の範囲」「情報の管理・提供ルール」「プライバシーや労働法制などとの関係」「漏えいなどの罰則」「情報保全を適切に実施していくための取り組み」などを提示。情報指定の範囲については、「情報の指定・解除が柔軟かつ機動的に対応できるようにすべき」「要件を充足する重要な情報が適切に指定されるよう国家安全保障局などが中心となって総合調整を実施すべき」「仮に特定秘密制度と別の制度になるのであれば、両制度のシームレスな運用を目指していくべき」などの考えを示した。
情報の管理・提供ルールにおける事業者に対するクリアランスについては、施設の適格性に加え、事業者そのものの属性や組織の適格性も見る必要性を指摘するとともに、政府からCIの共有を受ける民間事業者などについて、調査や保全体制の確認など厳格な対応を適用。主要国の例なども参照するとともに、わが国の企業の実情などを踏まえながら実効的かつ現実的な制度を整備するよう求めている。
プライバシーや労働法制などとの関係については、「同意拒否・取り下げや評価結果を理由にした不合理な配置転換などの不利益な取り扱いを含む調査結果などの目的外利用は禁止されるべき」「評価結果と理由についての本人に対する速やかな通知と異を唱える機会の確保も重要」との考え方を提示。漏えいなどの罰則については、「トップ・シークレット級、シークレット級の情報は特定秘密保護法の法定刑と同様の水準とすることが適当。コンフィデンシャル級の情報は、国内法とのバランスも踏まえながら政府において具体的に検討していくべき」「漏えいなどが法人の事業活動の一環として行われた場合に法人を処罰する規定を置くことについても検討すべき」などと提言している。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/index.htmlを参照。
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