◆ALPS処理水の安全性に関するレビューミッションの報告書
IAEA(国際原子力機関)は1月30日、2023年10月にIAEA職員と国際専門家(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、ベトナム、マーシャル諸島、ロシア)からなるタスクフォースが実施したALPS処理水の安全性に関するレビューミッションの報告書を公表した。報告書は、処理水放出後初めてのもので、技術的事項ごとに、IAEAタスクフォースと原子力規制庁、経済産業省、東京電力との議論、東京電力福島第一原発での調査のポイントや、所見の概要を記載。安全性については、「タスクフォースによるレビューや観察において、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。従って、IAEAは23年7月4日の包括報告書で示した安全審査の根幹的な結論を再確認することができる」と明記された。
また、報告書では、「ALPS処理水の放出を安全に監視するための強固な規制インフラが整備されており、タスクフォースは、原子力規制委員会の現場での存在とその活動を直接見ることができた」「福島第一原発における視察に基づき、タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した」「タスクフォースは、実施されている環境モニタリングプログラムが国際社会にとって非常に重要であることを強調した」「東電と日本政府が報告するデータの正確性と信頼性を担保し、透明性を提供するIAEAの裏付け調査の重要性にも言及した」などの主な確認事項を記載。データの公表などの対応については、「日本側が全てのモニタリングデータを単一のウェブサイトに集め、アクセスしやすい形式にすることが非常に有用である」と指摘するとともに、「関連する国際安全基準で直接要求されているわけではないが、このように重要なデータや結果へのアクセスを容易にすることは、利害関係者のプロセスへの参加を支援するのに役立つだろう」との見方を示した。
今後のレビューについては、東京電力と原子力規制委員会の活動が関連する国際安全基準に合致しているかどうかを評価するため、日本への定期的なレビューミッションを継続する意向を強調。次回のレビューミッションは24年春に実施される予定であることなども示された。
詳細はhttps://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240130002/20240130002.htmlを参照。
◆ALPS処理水の分析機関間比較結果
経済産業省は1月30日、IAEAが取りまとめた「ALPS処理水の放射性核種分析における第2回目の分析機関間比較結果」に関する報告書を公表した。今回のデータ分析は、IAEA立ち会いの下で採取されたALPS処理水のサンプルについて、IAEAの研究所(モナコの海洋環境研究所、オーストリアの陸域環境放射化学研究所とアイソトープ・ハイドロジー研究所)、IAEAにより選定された第三者分析機関(韓国原子力安全技術院)が実施している。
報告書では、「東京電力は高水準の測定の正確性と技術的能力を持つことが証明されている」「東京電力のサンプル採取手続きは、代表的なサンプルを得るために必要な適切な基準に従っている」「東京電力が報告した検出限界値によると、使用されている核種分析の方法は、適切で目的にかなったものである。東京電力のソースタームに含まれる報告された全ての放射性核種検出限界値は、規制基準の1%未満であった」と明記。「東京電力は正確で精密なALPS処理水の分析能力を有していることに留意し、東京電力が、ALPS処理水の放出中における福島第一原発で継続中の技術ニーズを支援するための持続可能で堅固な分析体制を構築していることを実証した」と結論付けている。
詳細はhttps://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240130001/20240130001.htmlを参照。
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