日本商工会議所の小林健会頭は5日、復興庁に高木宏壽復興副大臣を訪ね、「東日本大震災からの『復興・創生』に関する要望」(2月15日決議)を直接手渡し、創造的復興の実現に向けた取り組みの加速・深化などの要望内容の実現を求めた。高木副大臣は「被災地に寄り添い、復興をさらに前に進める」との考えを表明。小林会頭は、中国の日本産水産物禁輸措置について、1月の訪中時に李強首相に直接撤廃を要望したことに触れ「政府としても粘り強く早期撤廃の働きかけをお願いしたい」と述べた。
要望書の手交式には、日商から小林会頭はじめ、藤﨑三郎助副会頭(東北六県商工会議所連合会会長、仙台・会頭)、桑原茂・東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会代表(塩釜・会頭)、草野清貴同副代表(相馬・会頭)が、復興庁からは高木副大臣、角田隆事務次官のほか、同庁幹部が出席。日商の小林会頭は、中国の日本産水産物の禁輸措置について、「1月末に経済界として中国を訪問した際、私から李強首相に対し、規制撤廃を直接要望した。政府としても、粘り強く、規制の早期撤廃の働きかけをお願いしたい。規制の長期化も見据え、水産業への支援には万全を期してほしい」と要望した。
高木副大臣は、復興庁への人材派遣や被災地企業への支援など、商工会議所の取り組みに謝意を表明。要望書の内容に理解を示すとともに、「現場主義を徹底し、被災地に寄り添いながら、復興をさらに前に進めることができるよう、地域の状況に応じてしっかりと取り組む」と述べた。
日商は、要望書の取りまとめに当たり、昨年11~12月に青森県(青森、八戸)、岩手県(釜石、宮古、大船渡)、宮城県(仙台、石巻、気仙沼、塩釜)、福島県(福島、いわき、相馬、原町)の13地域に役職員を派遣し、商工会議所と17事業所・団体などから、被災地の生の声を聞いた。また、東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会と東北六県連から受領した要望書をベースに項目を整理。復興のフェーズを考慮し、各地のニーズを反映している。
要望項目は、「創造的復興の実現に向けた取り組みの加速・深化」「創造的復興を担う中小企業の自己変革支援」「原子力災害の克服、福島の再生」の三つの柱で構成。「創造的復興の実現に向けた取り組みの加速・深化」に向けては、「先端研究開発拠点の誘致・整備、企業立地・産業集積の促進」「観光振興による東北ブランドの確立、交流人口の拡大」「『広域経済交流圏』の構築に向けたインフラ整備の推進」などを強く求めた。
「創造的復興を担う中小企業の自己変革支援」では、「復興を支える人材確保、起業・産業人材育成への支援」「復興をけん引する地域中核企業の成長支援」「自立に向けた資金繰り支援の継続など」の重要性を指摘。「原子力災害の克服、福島の再生」に向けては、「『第2期復興・創生期間』終了後における財源・制度の確保」「ALPS処理水海洋放出への万全な対応・風評対策の徹底」「被害実態に合った原子力損害賠償の完全実施」などを要望している。
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