政府はこのほど、政府保有の経済安全保障上の重要情報の保護に向け「重要経済安保情報の保護・活用法案」を閣議決定した。「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議」の最終取りまとめを踏まえて「重要経済安保情報の指定」「重要経済安保情報の提供」「重要経済安保情報の取り扱い者の制限」「適性評価」「罰則」など必要な事項を定め、漏えいを防止する内容となっている。
同法案では、政府が保有する「重要経済基盤(重要なインフラや物資のサプライチェーン)に関する一定の情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいがわが国の安全保障に支障を与える恐れがあるため、特に秘匿する必要があるもの」について重要経済安保情報として指定。具体的な例として、サイバー脅威・対策などに関する情報、サプライチェーン上の脆弱性関連情報などを示した。
重要経済安保情報の指定の有効期限は5年以内。延長可能だが原則30年を超えることができない。また、重要経済安保情報の取り扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることなど当該情報の保護に関して必要な措置を講じる。
重要経済基盤の脆弱性の解消などわが国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供については、適合事業者(重要経済安保情報の保護のために必要な施設設備を設置していることなど政令で定める保全基準に適合する事業者)との契約に基づき、重要経済安保情報を提供することが可能。重要経済安保情報の取扱者については、適性評価において重要経済安保情報を漏えいする恐れがないと認められた者に制限する。
適性評価は、本人の同意を得た上で、内閣総理大臣による調査の結果に基づき漏えいの恐れがないことについての評価を実施(適性評価の有効期間は10年)。調査は、「重要経済基盤毀損(きそん)活動との関係(評価対象者の家族および同居人の氏名、生年月日、国籍および住所を含む)」「犯罪および懲戒の経歴」「情報の取り扱いに係る非違の経歴」「薬物の乱用および影響」「精神疾患」「飲酒についての節度」「信用状態その他の経済的な状況」などの事項で行う。
重要経済安保情報を取り扱う適合事業者の従業者についても同様の調査・評価を実施する。また、罰則については、重要経済安保情報漏えい時に、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方を科す。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/houdou/240227keizaianzenhosyo.htmlを参照。
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