2025年4月13日に開幕を迎える「大阪・関西万博」(正式名称:2025年日本国際博覧会)まであと1年に迫った。その見どころや注目すべき特徴、現段階での進捗状況などを2025年日本国際博覧会協会に聞くとともに、万博開幕に対する全国的な機運醸成に向けて、大阪商工会議所が中心となって進めている商工会議所の動きをお伝えする。
万博開幕に向けて機運を醸成し出展を目指す企業をサポート
大阪商工会議所は2017年3月に「2025日本万国博覧会誘致推進本部」を設置し、機運醸成や誘致活動を展開してきた。万博誘致の時期から関わっており、18年11月に開催が決定して以降も、開催に向けた取り組みを継続的に実施。全国の商工会議所に機運醸成の働き掛けも行っている。その活動内容について、同所の地域振興部長兼万博協力推進室長、玉川弘子さんに話を聞いた。
万博の機運醸成と中小企業の参画支援に大きく力を入れる
大阪商工会議所(以下、大商)は「万博協力推進室」を設置し、万博開幕に向けてさまざまな活動を展開している。大商にとっての大阪・関西万博の意義について、万博協力推進室長の玉川弘子さんはこう説明する。 「大阪は天下の台所といわれていた昔から、外から人が来て人との出会いや物の交流があって、ここまで栄えてきた都市です。その伝統が万博開催に受け継がれているのだと思います。さらに今回は大阪だけでなく関西全体で盛り上げていこうというのが、前回の70年万博とは違う点だと思います」
今回の万博では、大商も参画する「大阪ヘルスケアパビリオン」で、大阪の中小企業やスタートアップを発掘・支援するための展示も行われる。これにより、70年万博をきっかけとした地域企業発展の再現も期待されている。
また大商では、中期計画「挑戦都市 やってみなはれ!大阪プラン」において、大阪の国際競争力強化と持続的成長に向けた柱に万博を位置付け、四つの事業を進めている。それは「万博に向けた機運醸成・参画支援」「大阪ヘルスケアパビリオン出展支援」「万博関連受発注支援サイトの運営」「地域連携事業の推進」である。 「このうち、大きく力を入れているのが機運醸成と参画支援です。特に機運醸成は、18年11月に開催が決定してからすぐに始めています。ホームページで万博開幕までのカウントダウンを表示したり、万博情報のメール配信やポスター配布、SNSでの発信、機関紙『大商ニュース』に万博情報を随時、掲載したりしています。特にメールは毎日のように配信していて、関係組織が出している情報を集めて載せているので大変喜ばれています」
中小企業やスタートアップの出展を手厚くサポート
そのほかにも、万博の企業参加メニューを紹介する説明会や万博をテーマにしたシンポジウムの開催、展示会や商談会でのPRブース出展、そして出展するパビリオンの紹介まとめサイトの開設、会場建設費の募金活動、さらに昨年9月からは前売り入場チケットの購入依頼活動などを行っている。
また「大阪ヘルスケアパビリオン」では、「リボーン」をテーマにした展示を行う。 「リボーンには、生まれ変わる、新たな一歩を踏み出すという意味が込められています。展示ストーリーのテーマは『ミライの都市生活』で、センサーで体をスキャンしたデータを基に、2050年の自分に出会います。次に『ミライのフード』や『ミライのヘルスケア』のコーナーで自分のデータを基にした体験をすることで生まれ変わり、『ミライの都市』に入っていくという流れになっています」
このパビリオンで大商が特に力を入れているのが、大阪府内の中小企業・スタートアップ向けの「リボーンチャレンジ」。これは大阪ヘルスケアパビリオンの展示・出展ゾーンへの 出展を目指す事業者を支援する企画で、主に中小企業・スタートアップが先端技術を活用して開発した商品の展示や、「身近な課題や世界のお困りごとを大阪の町工場が解決します!」と題し、身近な悩みや問題点を基にした町工場起点の独自製品の開発・展示の支援など五つのテーマで進めている。 「中小企業やスタートアップが、これまでなかった製品を自由に発想して、その実現に向けて取り組み、万博への出展が次のステップアップのきっかけにつながる。それを手厚くサポートするのが、このリボーンチャレンジです」
各地商工会議所からの万博視察は大歓迎
そのほかにも大商は、万博に関連する商取引を促進する二つの万博関連受発注支援サイトも運営している。一つは全国の商工会議所・商工会が共同運営する『ザ・ビジネスモール』内に設置した特設ページ『BM万博商談』で、もう一つは大阪府と連携した『万博商談もずやんモール』である。二つが連携することで、博覧会協会や各パビリオン出展者からの調達案件が両方のサイトに掲載され、売り手企業にとっては大きなビジネスチャンスが見込まれる。 「今後、受発注が増えてくると思いますので、今後ここを使って多くの取引が成立することを期待しています。また地域連携事業として、まち全体で万博来訪者を温かくおもてなしする雰囲気をつくるために、勝手連的に万博を盛り上げているdemoexpoという団体と大商、南海電鉄の3者が、昨年11月に『まちごと万博カーニバル』というイベントを開催しました。この4月には『まちごと万博プラットフォーム』を立ち上げ、まち中で行われている万博関連イベントを発信して、万博に来た人たちに大阪の良さを味わっていただけるようにしていきたいと考えています」
大阪・関西万博の開催まであと1年となったが、万博が開催される大阪を視察したいという要望が増えているという。 「各地の商工会議所から視察のご要望があります。会期前は万博会場内をご案内することはできませんが、高層ビルからの眺望視察はアレンジできます。万博の概要を説明させていただくだけでなく、万博のテーマであるSDGsに関連したお話などもできます。もちろん開幕後も視察は大歓迎ですので、ご要望があればお問い合わせください」
大阪商工会議所
所在地 : 大阪府大阪市中央区本町橋2-8
電 話 : 06-6944-6211(代表)
HP : https://www.osaka.cci.or.jp
※月刊石垣2024年4月号に掲載された記事です。
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