パートナー企業3千社突破
企業のがん検診受診率向上、がんになっても働き続けられる職場環境の構築が大きな課題となっています。厚生労働省では、こうした事態に対処するため、2009年から「がん対策推進企業アクション」(正式名称:がん対策推進企業等連携事業)をスタートさせました。
この取り組みは順調に進展しており、今年7月には推進パートナー企業・団体数が3千社を突破し、従業員総数は日本の就業人口のおよそ11%に相当する750万人に達するなど、大きな成長を遂げています。3千社の内訳は、企業規模別では55%が大企業、半数近い45%は中小企業です。都道府県別では東京都が一番多く、続いて大阪府、京都府、愛知県、岡山県、神奈川県が続いています。
「がん対策推進企業アクション」は、「がんを知る」ことが、がんから身を守るために最も大切なこと、との視点から、全国各地で啓発セミナーを開催してきました。最近では、セミナー参加企業が進んでパートナー企業登録をするケースも多くなっています。昨年度からは希望する企業へがん専門医やがん経験者を派遣する出張講座も開始しています。さらに、がん対策に積極的に取り組んでいる企業・団体を選定し、「厚生労働大臣賞」「がん対策推進パートナー賞(検診部門、治療と仕事の両立部門、情報提供部門)」として表彰する制度も15年から導入し、事業の活性化にも努めています。
ベストセラー「検診のススメ」
参加企業に好評をいただいているのが、企業の社員に無料で配布している小冊子「がん検診のススメ」です。「がん対策推進企業アクション」のアドバイザリーボード議長であり、東京大学医学部附属病院の中川恵一先生に執筆していただいたものですが、必要な情報がコンパクトに集約され、この1冊でがんの基本的な知識が得られる内容で、11年間で300万部を超える隠れたベストセラーとなっています。
アドバイザリーボードには医療関係者や関係団体、がん経験者などの皆さまにご参加いただき、毎月、活発な議論が交わされ、効果的な事業の推進に寄与しています。また、今年度新たに、アドバイザリーボードのメンバーで女優・乳がん経験者の生稲晃子さんと昨年末にぼうこうがんになられた中川議長との「2人のがん経験者」による啓発ポスター(写真)を作成しました。このポスターはパートナー企業のみならず、全国の都道府県などにも送付しており、地方自治体との連携によりがん対策を効果的に進めることとしています。
また、本事業の新たな展開を目指して、パートナー企業が自主的に集まり、それぞれの取り組みや経験などを共有しながら、パートナー企業全体を先導する「企業コンソーシアム」も発足しました。参加するための費用もかからず、マイナス要素は見当たらない「がん対策推進企業アクション」。みなさまこの機会にぜひご参加ください。
問い合わせ先:がん対策推進企業アクション事務局 電話:03-6441-6574 ホームページ:https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/
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