尾道商工会議所(広島県)はこのほど、冊子「旧尾道商業会議所建物百年 その再生への記録」を作成した。これは、尾道商業会議所記念館が築100周年を迎えたことを記念したもの。建築時の趣を、当時の新聞掲載記事や古地図を引用して振り返るとともに、改修工事前後の様子について写真付きで解説している。
同館は1923年に「尾道商業会議所会館」として建てられた。当時の最新様式を用い、柱・壁・床・階段などは、地下室から屋上に至るまで全て鉄筋コンクリート造。地下室には倉庫、1階には玄関、事務室、役員室、応接室など、2階には会議室と控室、3階には講演会用の広間があった。また屋上からは瀬戸内海の美しい景色を臨むことができた。その後、31年には小説家の林芙美子が「尾道文芸講演会」を行ったり、51年には3階部分が市民に開放されたりするなど、人々の集まる場として重用されてきた。
しかし、71年には同所の移転によって私有となる。99年に尾道市に寄贈され、2004年には市の重要文化財に指定された。05~06年に地元の建設会社が改修工事を実施。建築当時の設計図が現存しなかったため、新たに設計図をつくり、当時の記録写真がモノクロだったため、実際の配色を旧会館で勤務していた職員OBに聞きながら復元するなど、当時の姿に近づける工夫がされた。06年以降は「尾道商業会議所記念館」として観光案内や資料展示 が行われている。
冊子はA4判・カラーの全12ページ、1800部限定。冊子のデータ版は同所ホームページに掲載されている。
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