日本政策金融公庫はこのほど、生活衛生関係営業の事業承継に関する調査の結果を公表した。調査は、2018年9月に実施。飲食業、理美容、クリーニングなどの生活衛生関係営業3092社から回答を得た。本稿ではその概要を紹介する。
事業承継についての意向
「事業を承継させたい」と回答した企業割合が37・8%と、全体の約4割を占めた。「事業を承継させたい」と回答した企業割合を業種別に見ると、ホテル・旅館業が最も多く、次いで、食肉・食鳥肉販売業、氷雪販売業の順となった。「事業を承継させたい」と回答した企業割合を現経営者の年齢別に見ると、「70歳以上」の層が50・2%と、最も多くなった。
後継者の有無
事業承継の意向がある企業の後継者の有無は、「後継者が決まっている」と回答した企業割合が56・5%となった。「後継者が決まっている」と回答した企業割合を業種別に見ると、クリーニング業が最も多く、次いで、食肉・食鳥肉販売業、理容業の順となった。「後継者が決まっている」と回答した企業割合を現経営者の年齢別に見ると、年齢が上がるにつれて割合が増えており、「70歳以上」の層では全体の約7割を占めた。
後継者または後継候補者との関係
「子供」と回答した企業割合が80・3%と、全体の約8割を占めた。「子供」と回答した企業割合を業種別に見ると、公衆浴場業が最も多く、次いで、ホテル・旅館業、クリーニング業の順となった。「子供」と回答した企業割合を現経営者の年齢別に見ると、年齢が上がるにつれて割合が増えており、「70歳以上」の層では全体の約9割を占めた。
事業承継の予定時期
「5年以内」(「1年以内」「1年超~3年以内」「3年超~5年以内」の合計)の比較的早期に事業承継を予定している企業割合が、37・6%となった。「5年以内」の事業承継を予定している起業割合を業種別に見ると、ホテル・旅館業が43・8%と最も多く、次いで、クリーニング業が41・8%、食肉・食鳥肉販売業が40・0%の順となった。「5年以内」の事業承継を予定している起業割合を現経営者の年齢別に見ると、「70歳以上」の層が56・4%と最も多くなった。
事業承継の準備状況
「準備を進めている」と回答した企業割合が42・0%、「現時点では準備をしていない」と回答した企業割合は58・0%となった。「準備を進めている」と回答した企業割合を業種別に見ると、公衆浴場業が最も多く、次いで、食肉・食鳥肉販売業、ホテル・旅館業の順となった。「準備を進めている」と回答した企業割合を現経営者の年齢別に見ると、「70歳以上」の層が53・2%と最も多くなった。
事業承継の準備をしていない理由
「まだ自分で事業が続けられる」と回答した企業割合が70・8%で最も多く、次いで、「日々の仕事で忙しい」(34・6%)、「事業の先行きに不安がある」(21・8%)の順となった。「まだ自分で事業が続けられる」と回答した企業割合を業種別に見ると、美容業が最も多く、次いで、理容業、飲食業の順となった。
事業承継をしない理由
「後継者または後継候補者がいない」と回答した企業割合が51・6%で最も多く、次いで、「当初から自分の代でやめようと考えていた」(42・9%)、「事業の先行きに不安がある」(41・4%)の順となった。
第三者から事業を承継したいと打診があった場合の意向
事業承継の予定がない企業について、第三者から事業を承継したいと打診があった場合の意向を見ると、「事業の承継を検討する」(「前向きに事業の承継を検討する」「事業の承継を検討してもよい」の合計)と回答した企業割合が、31・1%となった。「事業の承継を検討する」と回答した起業割合を業種別に見ると、飲食業が36・2%と最も多く、次いで、理容業が31・6%、美容業が30・1%の順となった。「事業の承継を検討する」と回答した起業割合を現経営者の年齢別に見ると、「50歳代」の層が42・6%と最も多くなった。(詳細は、https://www.jfc.go.jp/n/news/を参照)
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