独立行政法人情報処理推進機構(IPA)はこのほど、日本企業におけるDXの取り組みとその成果、技術利活用、人材育成などについて調査した結果をまとめた「DX動向2024」を公開した。同調査は、21年および23年に公表した「DX白書」を引き継ぐもので、今年2月9日から5月2日まで、事業会社の人事、情報システム部門などを対象に実施。1013社より回答を得た。
同調査によると、DXの取り組み状況については21年度から年々増加傾向で、調査時点では7割強(73・7%)がDXに取り組んでおり、22年度調査の米国(77.9%)に並びつつある結果となった。DXの取り組みにおいて設定した目的に対する成果については、「成果が出ている」企業の割合は、22年度調査の580%から64.3%に増加。一方、22年度に9割程度の企業が「成果が出ている」と回答した米国と比べると、道半ばの状況であり、DXの取り組みは進んでいるものの成果創出につながっていない企業もあると考察している。
DXの取り組み項目別の成果の状況について、デジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタル化)、デジタライゼーション(業務の効率化による生産性の向上、既存製品・サービスの高付加価値化)、デジタルトランスフォーメーション(新規商品・サービスの創出、組織全体の業務・製造プロセスのデジタル化など)の3段階の観点で見ると、「アナログ・物理データのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」などでは成果が出ている一方で、デジタルトランスフォーメーションの取り組みは他の段階と比較して成果が出ていない傾向が見られた。
DXを推進する人材の確保については、「大幅に不足している」(62.1%)とする企業の割合が、22年度調査(49.6%)、21年度調査(30.6%)と比較して著しく増加した。DX人材の獲得・確保の方法は「社内人材の育成」(59.1%)、「外部採用(中途採用)」(45.0%)、「既存人材(他部署からの異動も含む)の活用」(43.9%)が上位。「特定技術を有する企業や個人との契約」「リファラル採用(自社社員を通じての紹介・採用)」は米国と比べると、活用が進んでいない結果となった。
また、DXを推進する人材に対する社内のキャリアサポートについて、DXの成果が出ていない企業では「行っていない」との回答率が37.3%と高く、課題であるとしている。
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