阿波池田商工会議所(徳島県)は6月22日、管内の飲食店と協力して「池田ダムカレー」の提供を開始した。同所のにぎわい創出・交流委員会は、2020年度から池田町中心部に新しい経済効果をもたらす地域振興策について「まちなか観光」をテーマに観光コンテンツを検討してきた。今回の企画もこの一環であり、彩り豊かなこだわりのカレーが観光振興に一役買ってくれることを期待している。
池田ダムカレーは、阿波池田駅から車で5分程度の場所にある、吉野川の中流部に設けられた「池田ダム」をモチーフにしたカレーだ。吉野川をイメージしたグリーンカレーで、ライス部分は水色の米と白米の2層となっており、コンクリート式ダムのゲート部分を表現している。
また、グリーンカレーにゴロゴロと入ったタケノコの水煮は流木を、季節ごとに変わる野菜は川沿いの豊かな自然を連想させる。ライスの下に敷かれているジビエソーセージを引き抜くと、カレールーがあふれて、まるでダムの放流のように見えるという遊び心あふれる工夫も凝らされている。カレーを盛り付ける器は全て地元の支援学校の生徒が手作業で窯で焼いてつくったもので、湖畔をイメージした土色をしている。
ダムカレーは、まち中心部にある古民家宿のカフェで提供されている。池田ダムで配布されているダムカードを提示すると、ミニソフトクリームがサービスされる特典もある。
同所にぎわい創出・交流委員会は「まちなか観光」振興のため、さまざまな企画を実施してきた。これは三好市内にある吉野川の景勝地「大歩危(おおぼけ)」や日本三大秘境の一つである「祖谷(いや)」に観光客が集まる中、池田町にも立ち寄ってもらいたいという思いから始まった。
2021年4月には、「新山八十八ケ所現地視察」と題して、阿波池田駅の西側にある池田町シンヤマ地区にある「新四国霊場八十八ケ所」のウオーキングコースを視察した。また、同年10月には「まちなか観光モニターツアー」を開催し、池田町の成り立ち、文化と歴史について学ぶ機会を設けた。今回の企画もこのような、「まちなかの観光コンテンツを検討しよう」という活動の一環。池田ダムがまちのほど近くにあるという点で全国的にも珍しいダムであることから今回の企画につながった。
同所担当者は、「今後、ダムカレーを提供する飲食店が増え、多くの人がダムカレーを目当てに池田町に足を運んでくれたらうれしい」と話している。
最新号を紙面で読める!