日本商工会議所は9月9~12日、日中経済協会、日本経済団体連合会と合同で訪中団を派遣した。訪中団には日商の三村明夫会頭はじめ総勢230人が参加し、李克強首相らと意見交換を行った。李首相は、「日中両国が世界の二つの主要な経済大国として経済貿易協力を強化することは世界経済の成長と安定に資する」「グローバル化は必然であり、中国は一貫してWTOルール、多角的自由貿易システムを支持し、自由貿易を推進する」「米中貿易摩擦については、米国と誠意をもって交渉し、問題解決を図っていく」と述べた。
合同訪中団の派遣は、2015年から行っており、今回で5回目となる。日中関係が正常な軌道に戻り、両国首脳の相互往来が活発となる中、日中経済協力の新たな段階に向けた意見交換を行うため実施した。
李首相との会談で三村会頭は、中国日本商会が取りまとめたビジネス環境改善のための建議書「白書」を直接、李克強首相に手交。今年3月に成立した「外商投資法」の実施細則の策定に当たり、白書の建議内容の重視を要望した。また、東北地方の日本産農水産品・食品に対する輸入規制について、昨年、新潟県産のコメの輸入が解禁されたことに感謝を述べた上で、「多くの中国人に東北地方の美味しい食品を楽しんでもらうことが、東北地方の復興にも直接つながる」と述べ、3年連続で早期の緩和・撤廃を求めた。
李首相は建議書について、「昨年同様、関係部門で真剣に検討するよう指示する。また、『外商投資法』の関連規定の制定を進める過程で何か問題あれば、皆さまからの意見を参考にしつつ、法律にのっとって対応していきたい」と回答した。農水産物の輸入規制については、「科学的かつ安全の原則に従って、徐々に解決していきたいと思う。これを通じて、両国の相互理解と経済貿易の拡大を推進していく」とコメントした。
その他に日本側参加者からは、米中両国が交渉による問題解決を図ることにつき期待を述べた上で、中国に対し、「経済大国として、先進国と同等の立場でグローバル経済の秩序形成に責任ある役割を果たすことが必要」といった意見や、アジア太平洋地域における多国間での自由貿易体制の実現のために、質の高い自由貿易を目標としたRCEPの年内妥結を要請した。
訪中団はこのほか、国家発展改革委員会、商務部、工業信息化部など主要経済官庁幹部らと意見交換を行った。
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