株式会社商工組合中央金庫(商工中金)はこのほど、「中小企業の経営人材の採用・育成および副業・フリーランス人材の活用状況」に関する調査結果を公表した。調査では4割超の企業が今後、経営人材の中途採用を検討していることが分かった。一方フリーランスの活用は約2割にとどまっている。同調査は、四半期に一度行う中小企業の景況調査2024年5月調査のうち、毎回内容を変えている質問項目(トピックス調査分)の結果を取りまとめたもの。5月17日~6月3日に、中小・中堅企業3752社にインターネットによるアンケートを実施し、2080社より回答を得た(回答率55.4%)。
調査結果によると、経営人材(役員・部長・管理職層)の中途採用の実績・検討状況については「実績あり、今後も取り組む予定(32.0%)」「実績なし、今後取り組みを検討(12.9%)」を合わせて4割超の企業が経営人材の中途採用に意欲を示す結果となった(図1)。業種別では「飲食・宿泊」「運輸業」などの人手不足業種や「鉄・非鉄」「輸送用機器」など自動車産業関連が上位。従業員規模別では、規模が大きい企業ほど「実績あり」や「今後取り組みを検討する」企業の比率が高くなる傾向が見られた。
経営人材の中途採用に意欲的な企業がそれを検討している理由は、「現在の経営人材の後任(45.7%)」「社内で育成するより効果的(43.1%)」の比率が高い(図2)。経営人材を採用・育成するに当たってネックとなる事項は、「将来の経営人材となり得る若手社員の確保がうまくいかない (56.8%)」「即戦力人材が見つからない・採用できない(47.0%)」といった採用面が上位となった。
副業・フリーランス人材活用の実施・検討については「実績あり、今後も取り組む予定(13.8%)」「実績なし、今後取り組みを検討(7.9%)」を合わせて取り組みへの意欲を見せる企業は約2割だった(図3)。業種別では「情報通信業」「飲食・宿泊」「その他非製造業」といった非製造業関連が上位。また、業歴が浅い企業、代表者の年齢が若い企業ほど副業・フリーランス人材活用に積極的という結果となった。
今後、副業・フリーランス人材活用の取り組みを予定・検討している分野としては「一般的な自社業務に従事する人材(48.6%)」の比率が高く、働き手の確保の意向が強いと分析されている(図4)。専門的な分野としては「IT・DX分野の専門家」「バックオフィス業務の専門家」の比率が高い。副業・フリーランス活用の検討のネックとなる事項は「費用対効果が得られない、不明(41.7%)」が最も高く、次いで「業務の切り出しが難しい(38.7%)」「業務上の秘密の保持が難しい(38.3%)」が続く。
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