日本人の国民病とも言われる腰痛。厚生労働省の調査(2022年度)によると、「日本人が症状を自覚している病気やケガ」で、男性・女性ともに1位にランクインしています。
腰痛には大きく分けて急性腰痛と慢性腰痛があります。急性腰痛はいわゆるギックリ腰で、物を持ち上げたり、ひねったりしたときに突然痛みが生じ、動けなくなります。一方、慢性腰痛は急性ほど強烈な痛みではないものの、腰全体に痛みや下肢のしびれ、可動域制限などの症状が3カ月以上続きます。
慢性腰痛の原因として、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症、変形性脊椎症、骨粗しょう症、腰椎すべり症、筋肉疲労などが挙げられますが、原因不明の場合もあります。また、ストレスが関与していることもあります。
慢性腰痛の改善には、まず整形外科を受診してレントゲン検査やMRI検査などを行い、腰の状態をチェックすることが先決です。骨や椎間板、神経や筋肉、靭帯(じんたい)などの障害、腰椎の並びのズレなどに応じて、内服治療、ブロック注射、理学療法、メンタル面のアプローチ、手術療法などの治療が選択されます。鍼灸(しんきゅう)や整体、マッサージが効果的な場合もありますが、自己判断せず、医師の意見を踏まえた上で施術を受けるようにしましょう。
ただ慢性腰痛の場合、通院してもなかなかスッキリ治らないことも少なくありません。腰は普通に生活を送っているだけで常に負担が掛かっており、完全な安静状態を保つことが難しいためです。さらに、加齢によって骨や椎間板などに変化が生じてしまうと、元通りに復元することが困難です。
そこで痛みを和らげるために、取り入れたいのが腰痛体操です。整形外科での指導や書籍などを参考に、自身が気持ちいいと感じる腰痛体操を選んで行うと効果的です。また、筋力維持のために適度な運動を続ける、立ちっぱなしや座りっぱなしをしない、歩きやすい靴を選ぶ、入浴で心身をリラックスする、机やいす、寝具などを再確認するなどを心掛けてみてください。
腰は体の要です。毎日のケアで少しでもいい状態を維持しましょう。
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