日本商工会議所の小林健会頭は8月28日、定例の記者会見で、今年の地域別最低賃金の改定について「大きな流れとしては、実質賃金を上げていくという大目標があり、6月にはプラスに転じるといった流れにも沿った傾向だと思っている」と評価した。最低賃金の地域間格差が縮まってきている現状についても、「傾向としては望ましいことだと思う」と述べた一方、地方における経済状況の二極化が進んでいることに懸念を表明。「産業集積が少ない地域の中小企業は、地域での商業インフラを担っている。この中小企業がその土地での操業を諦めて、移転あるいは廃業などとなると、商業イ ンフラの維持が難しくなり、生活圏が崩れてしまう」との認識を示した上で、「いつも企業の支払い能力の問題について主張しているが、そういったことも含めて、制度のあり方を検討・議論してほしい」と改めて主張した。
自民党の総裁選挙については「多数の候補が出たことは良いことだと思う。長期と短期にわたってこの国をどのようにしていくかを発信できるいい機会であり、ぜひそのような議論を戦わせてほしい」と述べた上で、新総裁には、「岸田政権が積み残した政策や、ようやく取っ掛かりをつくった政策もある。中小企業のみならず、総じて日本経済にとって非常に必要なこと、まずはそれを継続してやってもらいたい」との考えを示した。継続を求める具体的な分野については「やはりエネルギー政策」と強調。「電源の近くに需要地をつくるなどさまざまな政策が出ており、合理的に進めてもらいたい」と求めた。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が見えてきている中で「財政再建優先」「経済成長優先」どちらの主張の候補者もいることについては「両方大事。どちらが良いとは言えない。(財政政策、収支は)その時の情勢で振れていくものだ。余裕があれば、財政赤字を減らし、トータルの累積の債務を減らしていくことがその道だと思う」と述べた。
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