日本商工会議所はこのほど、10月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、賃金債権の消滅時効が延長となった場合の経営への影響についてヒアリングした結果を発表した。2020年4月の改正民法施行に伴い、政府において賃金債権の消滅時効を現行の2年から延長すべきかどうかの議論が行われていることから今回の調査を行った。
経営に何らかの影響があるという企業は82・0%、「問題なく対応できる」企業は18・0%となった。具体的な影響の内容では、「従業員が繰り越し分の有給休暇を一気に取得した場合、経営への影響が大きい」が77・5%で最も多かった。次いで、「有給休暇の繰り越し可能な期間が延長された場合、管理の負担が増加する」が69・8%、「労働者名簿や賃金台帳などの法定帳簿の保存期間も延長されると、管理の負担やコストが増加する」が48・4%で続いた。
ヒアリングした企業からは、「子育て世代の従業員が多く、有給休暇を上手く利用しながら仕事と子育てを両立してもらっている。現在でも管理が大変であり、繰り越し可能な期間が延長されると、管理の負担が増大し、仕事の調整も難しくなる」(レンタル・リース業)、「働き方改革への対応を進めているところで、さらに有給休暇の繰り越し期間が延長されるのは負担である」(一般工事)といった声が寄せられた。
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