日本商工会議所の小林健会頭は10月17日、定例の記者会見で、衆議院議員選挙について、「経済にとって一番大事なのは政治の安定だ」と述べ、政権交代の有無にかかわらず重要政策の基本方針継続を求めた。また、各党がマニュフェストにおいて最低賃金1500円以上への引き上げを明記したことについては、地方の産業インフラへの影響を懸念。地方創生との矛盾に苦言を呈した。連合が掲げた年度の春闘に向けた賃上げ要求水準「6%以上」については、デフレ脱却を考え、目標感を出すことに理解を示した一方、「中小企業は千差万別だ」と指摘。「各企業の状況に応じて賃上げを行った結果が数字として出てくる。われわれも一生懸命努力するということだ」と述べた。
小林会頭は同15日に公示された衆議院議員選挙について、「わが国が直面している人口減少、社会保障、地域の活性化などは各党に等しく重要な基本課題だ。これらに対する方針を右左に分散すると経済は弱体化してしまう」と指摘。「政治の安定は経済のインフラでもある」との考えを述べ、政権交代の有無にかかわらず重要政策の基本方針の継続を求めた。
ほとんどの政党が、マニュフェストで最低賃金1500円以上への引き上げを明記したことについては、「各党の賃上げを重視する姿勢は歓迎する」と評価した一方で、「最低賃金で雇用する企業が地方の産業、商業インフラを担っている」と指摘し、最賃の大幅な引き上げが地方の産業インフラに多大な影響を及ぼす危険性を主張。「各党が掲げる地方創生とは矛盾してくる」と苦言を呈した上で、「われわれも協力し、政労使で、特に支払い能力の問題をよく議論し、最賃についてはその審議会に委ねて決めるというのが、妥当な道かと思う」との考えを改めて表明した。
前年度の13兆円を上回る規模にするとされる24年度の補正予算については、「経済団体として歓迎する」と評価した上で、「一概にばらまくという形ではなく、めりはりの利いた支援をしてもらいたい」と求めた。
連合が掲げた25年度の春闘に向けた中小企業向けの賃上げ要求水準「6%以上」については、「全体としてデフレ脱却を考え、目標感を出すことは結構だと思う」と理解を示した一方、「中小企業は千差万別だ」と述べ、日商調査で全体の賃上げ率が3.62%だったことに言及。「上は7%台の企業もあるだろうが、賃上げできなかった企業もあるという状態だ」と述べ、「各企業の状況に応じて賃上げを行った結果が数字として出てくる。一部を取り出して全体について述べることはできないが、われわれも一生懸命努力するということだ」との考えを示した。
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