日本・東京商工会議所は10月18日、「中小企業の脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取り組み推進に関する要望」を取りまとめた。要望では、政府が「2050カーボンニュートラル」の実現を掲げる中、わが国の温室効果ガス排出量の1~2割を占めるとされる中小企業においても、脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取り組みは不可欠との認識の下、各種施策の実現に向けた取り組みを求めている。また、同29日には、日商の北沢利文中小企業のカーボンニュートラル推進WG座長(東京商工会議所中小企業のカーボンニュートラル推進特別委員長)が環境省の鑓水洋事務次官に要望書を手交。会員企業の声を集約した政策の実現を要望した。
要望書は、7割の企業が省エネを中心とした脱炭素に向けた取り組みを実施しているものの、「マンパワー・ノウハウ」などが課題として浮き彫りになった日商・東商調査の結果に触れ、あらゆる業種で人手不足が深刻化しており、専門的なノウハウの不足を補う方策の必要性を指摘。脱炭素・グリーン分野における国家間競争が激化する中、大企業と中小企業の連携した取り組みにより、日本全体の成長へ結び付けていくことが必要との認識の下、会員企業の声を集約した政策の実現を強く求めている。
具体的には、①中小企業の温室効果ガス排出削減に向けた取り組み推進②地域と中小企業の成長・発展につながる脱炭素の取り組み推進――の2本柱を提 示。①では、脱炭素に取り組む幅広いメリットや意義などの情報提供・発信の強化を通じた経営者の意識改革と脱炭素行動の促進などを求めているほか、企業における脱炭素に向けた取り組みの第一歩である排出量の「見える化」(把握・測定)の実施が、小規模事業者において顕著に遅れていることから、中小企業でも活用可能な排出量算定ツールの導入などへの支援を要望した。
また、エネルギー効率が高く、温室効果ガス排出削減を目的とした設備投資に関する補助金のさらなる拡充や、「マンパワー・ノウハウ不足」を補うため、日頃のビジネスを通じて中小企業と関わりを持つ大手企業や設備機器メーカーなどによる働きかけなどを促す仕組みづくりなども求めている。
②では、脱炭素の動きを中小企業の新たなビジネス機会と捉え、成長・活性化、ひいては地域の産業振興・経済発展へとつなげていくことが肝要であるとの認識の下、環境省が選定した全国の「脱炭素先行地域」の取り組みを持続可能な取り組みにつなげるための伴走支援やフォローアップなどを求めているほか、脱炭素電源の導入推進による地元中小企業の参画などに向けた後押しを要望している。
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