小田原箱根商工会議所は小田原市と箱根町の二つの行政区を管轄地域としています。小田原市はさまざまな産業がバランスよく存在する、人口19万人の「田舎でもなく都会でもない」仕事をするにも暮らすにもちょうどよいまちです。東京まで東海道新幹線で30分、羽田空港まで1時間と便利であると同時に、森里川海がコンパクトに存在し、豊かな自然も自慢です。戦国時代は北条五代、100年間にわたり関東一円の中心として、江戸時代は城下町、宿場町として、近代では別荘地、交通の要衝として、それぞれの時代で歴史の重要な役割を果たしてきました。隣接する箱根町は、人口は1万人程度ですが、首都圏から至近の温泉リゾートとして、年間の観光入込客数は2千万人を誇っており、観光産業で地域経済を支えています。
そんな可能性溢れる地域をベースとする当所は、「地域で回るお金を増やし、回るスピードを上げる」ことをテーマに、さまざまな施策を展開しています。その一丁目一番地は会員企業の商売繁盛のお手伝い。もう一つは、地域経済を下支えする中小企業が頑張れる環境整備という意味でのまちづくりです。
私自身の地域での活動の原点は二つです。私は小田原で生まれ育ち、大学を出てすぐに家業の海外展開のため渡米し、1981年に会社を立ち上げ、91年までの10年間経営に携わっていました。帰国後、商工会議所青年部に入会し、活動にいそしむ中、2003年には日本YEGの会長を拝命しました。青年部に関わらなければ、会頭職を務めることはなかったと思います。地域経済の重要性とその可能性に気付かせてくれたのは青年部だと言っても過言ではありません。会員も増え、全国各地で活躍してくれているYEGの姿はとても頼もしくうれしい限りです。
もう一つは家業のかまぼこ屋です。おかげさまで江戸末期の創業から160年目を迎えます。かまぼこは良質なお魚たんぱくの固まりです。その食品としての優れた機能性を知っていただくことでまだまだ需要は伸びると信じています。さらに、未来に向けて「お魚たんぱくで世界を健やかに」の旗印の下、長年磨いてきたお魚たんぱくの加工技術を生かし、無駄にされている水産資源を有効活用した全く新しい素材の開発に注力しています。
地域に根差した仕事を通じて、箱根駅伝の襷(たすき)のように、より良い持続可能なふるさとを次代につないでいけるよう力を尽くしてまいります。
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