昨年11月5日の米大統領選挙で共和党のトランプ氏は民主党のハリス副大統領に勝利した。また、共和党は連邦議会の上院と下院選においても勝利してトリプルレッド(レッドは共和党の色)を実現し、1月21日に第2次トランプ政権が発足した。この政権は米国の国内政治はもちろんのこと、世界の政治経済にも大きな変化をもたらしそうだ▼
例えば、国内的には関税政策を変更し、外交的にはレーガン政権のスローガンMAGA(米国を再び偉大にする)を拝借して進める。就任直後に議会の承認が不要の大統領令を100本以上出すともいわれているが、それらの政策は基本的には共和党の小さな政府や市場原理、それに自己責任を重視する政策に沿ったものになるだろう▼
関税政策では、すでに根拠法が存在しておりトランプ氏の裁量で決められるものが多い。従って、大統領選挙で約束したようにメキシコとカナダの製品に25%の関税を課したり、中国に10%の追加関税、日本やEUには10~20%、メキシコの自動車には200%の関税を課したりすることになろう▼
また、テキサス州などが抱えるメキシコ国境の移民問題では、米国史上最大の1000万人に上る不法移民の国外追放作戦を展開しそうだ▼
外交政策ではNATOからの離脱をちらつかせて欧州の防衛費負担の増大を強要したり、中東政策では極端な親イスラエル路線を取ったり、2018年に米国、メキシコ、カナダとの間で締結されたUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を反故(ほご)にしそうだ▼
日本の防衛費負担についてもGDP比率2%以上を要求してくることは明白だ。従って、事前に十分、関係者間で議論を進めておく必要がある
(政治経済社会研究所代表・中山文麿)
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