奈良商工会議所と奈良県、JR西日本などは1月8日から鉄道を使った奈良県内の宿泊・周遊観光を促す「ならSLOW&LOOP」プロジェクトを開始した。同プロジェクトは奈良県への訪問客について、宿泊率が低く、奈良公園周辺に一点集中していることを課題と捉え、従来の日帰り観光からの脱却と周遊観光の促進を目的として企画された。
同プロジェクトでは、JR西日本の「大和路線」「万葉まほろば線」「和歌山線」の3路線の一部をつなぐと、都内の「山手線」のように環状になることに着目した。この環状の周遊区間内には22の駅があり、営業距離数は56・3㌔㍍。区間沿線には日本書紀に記載のある箸墓(はしはか)古墳や三輪山(桜井市)、694年に都となった藤原京の跡地や神武天皇を御祭神とする橿原神宮(橿原市)がある。ほかにも由緒ある寺院・神社、特色ある甘味処やカフェなどがあり、独自の魅力を放っている。同プロジェクトではこうした魅力的なスポットについて、リーフレットと公式ウェブサイトで解説している。
また、「(ICOCAでGO)ならSLOW&LOOPデジタルパス」と銘打って、周遊区間が2日間乗り放題になる周遊パスを発売した。これを利用することで、お得に同プロジェクトのコンセプト通り「ゆるっと(SLOW)、ぐるっと(LOOP)めぐる」ことができる。同パスには沿線にある酒蔵を訪れると日本酒や奈良漬などがもらえる特典もセットで付いてくる。パスの利用には「KANSAI MaaS」アプリに登録したICOCAが必要。価格は2500円で、販売期間は3月30日まで。同プロジェクトではほかにも、2~3月末にJRの駅舎を利用したマルシェも実施する予定だ。
同所では今回の事業をきっかけに県内の橿原商工会議所や大和高田商工会議所、複数の市や観光協会などをメンバーとする協議会を立ち上げようと考えている。宿泊・周遊観光につながる施策を企画し、連携を促進していく。
同所担当者は「各団体・企業への説明やデジタルパスの特典の酒蔵、各エリアの掲載スポットとの調整など、商工会議所らしい根気強い活動を通して何とか形にすることができた」と話す。
詳細は、こちらを参照(https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/slowloop/)。