政府は12月26日、第14回「GX実行会議」(議長・石破茂首相)を開催し、GX実現に向けた長期の政策方針を示す「GX2040ビジョン」の素案について議論した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は地域・中小企業におけるGXの推進について、「コスト削減につながる『省エネ』から始めることが必要」と指摘。脱炭素電源の開発については、「立地地域への産業・企業誘致や地元中小企業の産業振興につなげることが重要」と述べ、政府へ力強い支援を要請した。
原子力の活用については、「エネルギー安定供給確保はGX推進の大前提。原発政策の推進は不可欠」と強調し、女川原発、島根原発の再稼働を評価するとともに、柏崎刈羽原発をはじめとした安全性が確認された原発の再稼働に向け、政府が前面に立った取り組みの継続を求めた。
石破首相は、「GXの取り組みは、脱炭素技術への投資を促進し、30年間の日本経済の停滞を打破する大きな好機。産業構造が変わり、新たな産業が新しい場所で生まれる。それによって、日本各地に新しい産業集積が生まれる可能性がある」と指摘。「脱炭素電源の整備や、水素・アンモニアなど の脱炭素エネルギーのサプライチェーンの構築、次世代の電力送配電ネットワークの整備により、新たな産業集積を目指す」と述べるとともに、データセンターについても段階的に脱炭素電源が豊富な地域へ誘導していく方針を表明。「この『GXビジョン』を基に、官民でGXを加速させるための投資を拡大させていきたい」と述べ、「エネルギー基本計画」「地球温暖化基本計画」と併せて、今年度内の閣議決定を目指す考えを示した。