和歌山県第二の都市・田辺は、熊野古道の中辺路(なかへち)ルートと大辺路(おおへち)ルートの分岐点として古くから交通の要衝だったまち。伝説の豪傑・武蔵坊弁慶の生誕地とされ、世界的博物学者の南方熊楠(みなかたくまぐす)が半生を過ごした場所としても知られている。数々の歴史を織りなしてきた田辺で、大変印象に残る菓子を見つけ、すっかりとりこになった。「鬪雞(とうけい)まんじゅう」という小さい和菓子で、ニワトリを正面から眺めたような、丸っこい三角形をしている。一つずつ紅白の紙に包まれており、白には柚餡(ゆずあん)入り、赤には梅餡入りのまんじゅうが納まっている。
鬪雞まんじゅうの名前は、世界遺産に登録された近くの「鬪雞神社」にちなんだもの。武蔵坊弁慶の父とされる熊野別当湛増(たんぞう)が、源平合戦でどちらに味方するかを決めるため紅白のニワトリを神前で闘わせたという。包装紙が紅白なのも、それに由来する。餡は程よい濃厚さで、甘み加減もよく、皮のぎりぎりまでたっぷり詰まっているのがぜいたくだ。箱入りは9個まんじゅうが入っているが、赤が四つ、白が五つ。勝利した源氏の白の数が多いのもしゃれている。製造元は「菓匠二宮」。カフェも併設しているので、コーヒーと鬪雞まんじゅうをいかが。
Data
社名 : 株式会社二宮(にのみや)
所在地 : 和歌山県田辺市下屋敷町27
HP : https://www.amato-ninomiya.com/
電話 : 0739-22-1001
【田辺商工会議所】