地域に根差したビールづくりに挑戦 幅広い世代が活躍できる場を創出する
高津川リバービア株式会社 代表取締役 上床 絵理(うわとこ・えり)
二つの夢をかなえるため島根県に移住
私は島根県益田市に2020年、クラフトビールの製造や販売を行う「高津川リバービア」を立ち上げました。醸造所の近くを流れる高津川は、「日本一の清流」とも呼ばれる水質の良い一級河川です。きれいな水、イチゴやユズといった流域の農作物などを生かし、地域に根差したビールづくりに励んでいます。
もともと島根県やビールづくりとは縁のない生活を送っていました。福岡県に生まれ、大学卒業後は東京で働く国家公務員でした。公務員の傍ら、シニア人材の活躍の後押しをしようとNPO法人を立ち上げた際、活動拠点の近くにあった島根県津和野町の東京事務所を訪れたことが、縁の始まりです。事務所スタッフに誘われ、「高津川流域関係人口創出プロジェクト」に参加したことで、益田市をはじめとする高津川エリアの魅力を知りました。実際に訪れ、美しい自然やまち並み、人の温かさ、豊かな食に引きつけられたのです。
子どもの頃に祖父と同居していた経験から、シニアが生き生きと働ける場所をつくりたい、という強い思いを以前から持っていました。また、大人になってからビールをはじめとするお酒、お酒でのコミュニケーションの場が大好きになり、いつかはビールをつくってみたい、という願望もありました。益田市でおいしいビールを製造し、シニアの人たちにも関わってもらう―二つの夢をかなえる、そんなプランを思い付いたのです。幸い、共感してくれる仲間に恵まれ、公務員を辞めた後、当社を設立することができました。