経済産業省は3月13日、「第3回パートナーシップ構築シンポジウム」をハイブリッド方式で開催した。開会に当たり、ビデオメッセージを寄せた武藤容治経済産業大臣は、「昨年は年ぶりの水準となる賃上げ率だったが、地域や業種により上昇幅にばらつきがあった。物価高も継続している中、今年も物価上昇に負けない大幅な賃上げを実現することが重要」と指摘。そのために社会全体で価格転嫁を進めていくこと、付加価値向上に向けGX、DX、働き方改革などの課題に大企業中小企業が連携して取り組み、サプライチェーン全体で連携して取り組んでいくことが必要」と述べた。
価格転嫁については、下請代金法(下請代金支払遅延等防止法)と下請振興法(下請中小企業振興法)の改正法案の早期成立などを通じて、中小企業の構造的な賃上げを後押ししていく考えを示した。
シンポジウムではその後、サントリーホールディングス株式会社の木村穣介取締役専務執行役員による基調講演のほか、「パートナーシップ構築大賞」の表彰式を開催。経済産業大臣賞を受賞した山陽特殊製鋼株式会社をはじめ5社がそれぞれの取り組みについてプレゼンテーションを行い、サプライチェーン全体での共存共栄に向け実践例を紹介した。
閉会式であいさつした日本商工会議所の小林健会頭は、日商調査で、賃上げに取り組む中小企業の7割が、依然として収益改善を伴わない「防衛的な賃上げ」を余儀なくされている状況に触れ、「適正な利潤を確保するためには、生産性の向上はもとより、価格転嫁の一層の推進が不可欠」と強調。社会全体で価格転嫁を商習慣化として根付かせていくため、「パートナーシップ構築宣言」の周知と理解促進に粘り強く取り組む必要性を指摘した。