経済産業省と公正取引委員会はこのほど、親事業者(約20万社)および関係事業者団体(約1100団体)に、下請け取引の適正化を求める要請書を発出した。要請書では、下請代金支払遅延等防止法における親事業者の義務として、「書面(注文書)の交付および書類の作成・保存」と「下請け代金の支払期日を定めることおよび遅延利息の支払い」を挙げ、その順守を要請。また、親事業者の禁止事項として、「受領拒否」「下請け代金の支払い遅延」「下請け代金の減額」などを列挙している。特に親事業者に対しては、調達担当者のみならず役員などの責任者まで周知徹底を図り、現場責任者には調達担当者の指導および監督に当たらせるなど、適切な措置を講じるよう求めている。
また、年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請け事業者の資金繰りなどについて一層厳しさを増すことを懸念。親事業者が下請け代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請け事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることが必要としている。
今年4月に働き方改革関連法が施行されたが、大企業・親事業者による長時間労働の削減などの取り組みが、下請け中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請などの「しわ寄せ」を生じさせることを危惧。下請け中小事業者の働き方改革の妨げとならないことが重要として、下請け中小事業者に対して発注を行うに当たっては、下請法などの違反にもなり得る「しわ寄せ」を生じさせないよう要請している。また、消費税率の引き上げにより、減額や買いたたきなどによる消費税の転嫁拒否などの行為を行うことがないよう注意を呼び掛けている。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191115004/20191115004.htmlを参照。
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