日本・東京商工会議所は4月18日、提言「官民共創によるシン・日本創生を~日本経済の再活性化に向けて~」を決議し、公表した。日には、提言を取りまとめた総合政策委員会の斎藤保委員長が伊東良孝地方創生担当大臣兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣に提言書を手交。官民共創による地域発の日本創生実現に向け、地方創生2・0基本構想など、政策への反映を強く求めた。
提言書では、「人口減少で経済規模は縮小しても、資本蓄積と生産性向上により経済成長は可能である」との認識の下、「縮んでも成長する」という価値観へ転換し、これまでの社会経済の設計思想から離れて、社会の維持と成長の形を模索・追及すべきと主張。また、「大都市と地方がそれぞれの魅力を磨き、共に栄え成長していくことが真の地方創生、日本創生につながる」と述べ、分散・連携型国土構造へ転換を図る必要性を指摘している。
これらの基本認識の下、①日本経済の特性を生かした地域産業競争力の強化②人手と人材を地域につなぐ仕組みづくり③行政区域を超えた地域生活圏・経済圏での新連携――の3本柱を提示するとともに、それを支える土台となる「民間意見を反映した官民共創環境の整備推進」の重要性を指摘している。
具体的には、①では、地域に新たな事業や「しごと」、稼ぎをもたらす基盤産業の活性化を柱と位置付け、農業や観光など各地域の特性を生かして産業競争力を高めることで、域外からの需要を取り込む必要性を指摘。地域の産業を支える中小企業・小規模事業者などの挑戦を後押しする柔軟な資金調達環境の整備や、域内企業間連携の促進による新たな共創の活性化を促す支援拡充を求めた。また、活発化してきている民間投資の流れを加速させるため、インフラ整備や新たな成長分野への公的投資を拡充・推進することで民間投資を喚起し、経済効果を地域に最大限波及させていく必要があると主張した。
②では、未来を担う「ひと」の確保を柱とし、「地域を担う人材育成に向けた教育機関と産業界の連携深化が必要」と指摘。リスキリングやリカレントを通じた女性・高齢者などの働く機会創出や、外国人材の戦略的確保に向けた取り組み、外国人との共生に向けた基本法の策定など、多様な人材の活躍を促進するため、環境整備が必要と主張した。
③では、事業活動の場、生活の場に必要な都市機能・社会基盤となる「まち」の整備を柱と位置付け、単独の自治体による行政サービスなどの維持・管理が限界を迎えている現状を指摘し、国や都道府県が前面に立って行政区域を超えた連携体制構築が重要との認識を強調。効率的なインフラ投資に向けた自治体間連携によるインフラマネジメント体制の全国的な構築などを求めた。
伊東大臣は、「国としての考えも基本的に同じ。地域を元気にする活動を後押しし、意欲のある若いリーダーの発掘、育成にも力を入れる。若者や女性のやる気につながる事業・政策を展開していく」と述べるとともに、商工会議所への期待を示した。