市町村統計「経済・財政と暮らしの指標」
自分たちの取り組みやビジネスの成功確率を高めるためには、データに基づいて客観的に外部環境を把握することが不可欠です。ただ、都道府県単位のデータはあるものの、身近な市町村単位では把握できないことがあります。また、自分たちの基礎自治体だけデータがあり、他の基礎自治体と比較できないこともよくあります。それでも比較しようとして、データ探索に時間を浪費した経験がある人も多いでしょう。
こうした問題の解消策として、RESAS(リーサス=地域経済分析システム)が知られていますが、もう一つ、内閣府が提供している「経済・財政と暮らしの指標『見える化』データベース」があります。
全行政区域を網羅した時系列データ
2016年から内閣府のウェブサイトで提供されており、アクセスすれば、後はステップ1~6に従って作業するだけで、比較したいデータを見ることができます。地味に有益なのがステップ2にある「都道府県別データ」「市区町村別データ」で、都道府県別ではここまで、そのうち市町村別ではここまでと、把握できるデータの範囲が分かります。最初にこのデータ一覧を確認することで、スムーズに外部環境を把握する資料を検討することができます。 しかも、市町村合併が反映された長期間の時系列データが統一的に整備されているという特徴があり、ダウンロードしたデータで独自に長期的な比較検討を行うことも容易です。そのため、複数のデータの相関関係を把握してEBPM(Evidence―Based Policy Making:エビデンスに基づく政策立案)に活用できるといった、RESASでは難しい使い方ができます。 また、人口規模や財政状況などが類似した自治体同士の比較が可能な地域類型化機能が備わっています。
ジャパンダッシュボードに進化中
さらに現在、デジタル庁と協働して、「見える化」ポータルサイトの操作性の向上と機能の拡充をし、「Japan Dashboard(経済・財政・人口と暮らしに関するダッシュボード)としてリニューアルが進んでいます。ワンクリックで指標を経年で確認でき、データのダウンロードも容易になり、出典も簡単に把握できるようになっています。いまは都道府県単位のデータのみですが、市町村単位のデータも整備される予定です。
今後は、具体的なユースケースの提供、データの読み解き方、他のデータベースとのすみ分けや連携といった要望についても対応されていくようですので、まずは一度、サイトにアクセスしてみてください。
(一般財団法人ローカルファースト財団理事・鵜殿裕)