日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が事務局を務める「経営者保証に関するガイドライン研究会」は2019年12月24日、事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則を公表した。同ガイドラインには、円滑な事業承継を図る観点から、経営者保証の二重徴求の原則禁止などが盛り込まれている。
経営者保証に関するガイドライン」は、中小企業の経営者が金融機関などと締結している個人保証(経営者保証)について、保証契約を検討する際や、金融機関などの債権者が保証履行を求める際における中小企業・経営者・金融機関の自主的なルールを定めたもの。円滑な事業承継への対応が喫緊の課題となる中、経営者保証がその阻害要因となり得ることから、事業承継時の経営者保証の取り扱いを明確化するため、同研究会の下部にワーキンググループを設置し特則の検討を行ってきた。
今回策定された特則は、①前経営者、後継者の双方からの二重徴求の原則禁止、②後継者との保証契約は、事業承継の阻害要因となり得ることを考慮し、柔軟に判断、③前経営者との保証契約の適切な見直し、④金融機関における内部規程(判断基準)などの整備や職員への周知徹底による債務者への具体的な説明の必要性――の4点を柱としている。原則、2020年4月から適用する。
特則の策定により、中小企業、経営者および金融機関において「経営者保証に関するガイドライン」とともに広く活用され、経営者保証に依存しない融資の一層の実現に向けた取り組みが進むことで、円滑な事業承継、ひいては中小企業金融の実務の円滑化を通じて中小企業の活力が一層引き出され、日本経済の活性化の一助となることが期待されている。
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