今年も日本人研究者がノーベル生理学・医学賞と、化学賞を受賞し、日本が科学においてグローバル競争力を維持しているという自信を与えてくれた。日本人受賞者が唯一出ていない経済学賞は今年、米ノースウエスタン大のジョエル・モキイア氏ら米仏の3人に贈られた。受賞理由は「新技術が持続的経済成長を起こすメカニズムの解明」だった。国家を想定した研究だが、企業にも参考になる点はある。
モキイア氏は、イノベーションには「命題的知識」と「処方的知識」の異なる2種類の知識が必要と主張する。命題的とは自然界の法則やその背景にある原理の発見を意味し、処方的とはそれを利用し、実用化する手法、レシピなどを指す。大学や研究所が命題的知識を生み、企業や個人が処方的知識を考案し、新技術が日の目を見る。
日本のノーベル賞受賞者は大学だけでなく、ソニーの江崎玲於奈氏(1973年物理学賞)、島津製作所の田中耕一氏(2002年化学賞)、旭化成の吉野彰氏(19年化学賞)ら企業で研究に携わった人が目立つ。企業努力による処方的知識の創造が世界を大きく変え、人類への大きな貢献となることを示している。
